社会学の世界でも、性的マイノリティーについての調査は主に東京などの大都市部で行われる。著者らによれば多くの場合、「進んでいる東京(大都市)/遅れている地方」という構図に単純化され、地方在住の性的マイノリティーである人々の実情の研究は後回しにされてしまう傾向があったという。地方と大都市部との差異に問題意識を抱いた著者らは、2018〜19年、東北で活動している性的マイノリティー団体に関わる地域の人々を対象に、インタビュー調査を行った。
「地元」で活動することへの葛藤
東北地方に独自の性的マイノリティー団体の系譜が存在していたことを、東北出身の評者も本書で初めて知った。東北初のゲイサークルは仙台で1992年に立ち上げられ、HIVサポートグループやトランスジェンダーの自助グループなど、さまざまな団体が各地で活動を展開している。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
ログイン(会員の方はこちら)
無料会員登録
登録は簡単3ステップ
東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
おすすめ情報をメルマガでお届け
トピックボードAD
有料会員限定記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら