かなり長い間、物価が大きく変動しなかったため、われわれは名目と実質の違いをあまり意識せずに済んできた。しかし、ここへきて、物価上昇が目立ち、名目賃金と実質賃金の違いなどが、問題となっている。
10万円の名目賃金がたとえ変わらなくても、物価が上がれば、実質的に買えるものは目減りしてしまう。そのため、経済活動にとって本質的に重要なのは、名目賃金から物価上昇率を差し引いた実質賃金だ。よって、実質を変えないためには、物価上昇率と同程度に、名目賃金を上げる必要がある、というのは多くの人が理解できるロジックだろう。
しかし現実は、この基本理解で対応できるほど単純ではない。このことを今、多くの人々や経営者がかみしめているのではないか。
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