教員「精神疾患で休職」過去最多、心のケアの現場も「深刻な人手不足」に警鐘 意外と知られていない「復職支援」の存在と効果

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2002年からスタートした当院のリワークは、これまで736名が修了(22年度修了見込みも含む)しています。復帰率は例年7割ほど。また、一般的なうつ病の再休職率は約50%といわれていますが、当院のリワークを受けたうえで復帰された方の追跡調査では、年度によりばらつきはあるものの、6割~8割が復帰1年後も勤務できています。

復職支援プログラムの内容は地域や支援機関によって異なりますが、多くの自治体が何らかの支援を実施しています。そういった情報もあまり学校に共有されていないようなので、ぜひ地域にあるプログラムを知っていただきたいと思います。

――教員の職場復帰を支援するために、教育行政が取り組むべきことは何でしょうか。

メンタルヘルスをテーマとした管理職向けの研修をもっと充実させてほしいですね。休職から職場復帰に至るまでにはいくつかの回復段階があるのですが、あまり知られていません。例えば「この段階では管理職や同僚が休職中の教員に言葉がけをするのは控えるべきだが、この段階になったらこういうふうに声をかけるといい」といったノウハウがあります。こうしたスキルを管理職が備えていれば、職場復帰がスムーズになるはずです。また教員養成課程でのカリキュラムや初任者研修の中にも、そろそろメンタルヘルスをテーマとしたプログラムを入れてもよい時期に差しかかっているのではないかと思います。

――教員の方に対して、ご自身のメンタルを守るために、ぜひ意識してほしいことがありましたら教えてください。

2つあります。1つは、心身の健康維持のため、質のよい睡眠時間を確保すること。「1時間以上寝つけない」「夜中に何度も目が覚める」「朝早く目が覚めて、その後眠れない」「ぐっすり寝た気がしない」の4つのうち、どれか1つでも症状が1カ月以上続いた場合には、受診をしてもよい状態だと思います。自分の睡眠の質に気づいていない人も多いので、不調を感じている場合は、まず無料のメンタル相談などで眠りの状態をチェックしてみるのもお勧めです。

もう1つは、「24時間教師」の状態をやめること。勤務を終えて校門を出たら、「先生」という肩書は脱ぎ捨てて、「ただの人」に戻る時間をつくるようにしていただきたいと思います。

(文:長谷川敦、注記のない写真:mits/PIXTA)

東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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