「HSPの教員」が抱える悩み「職員室は刺激多い」、保護者や同僚の関係に対処法 光・音・言動に強反応、先天的に「安心」しづらい

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「HSP」という言葉をご存じだろうか。「Highly Sensitive Person/ハイリー・センシティブ・パーソン」の略で、その名のとおり「極めて繊細な人」を指すものだ。これは個人が生まれながらに持つ先天的な気質の1つで、生活環境や人間関係による後天的な性格とは異なる。5人に1人はHSPであるともいわれており、それは当然、教員の中でも同じこと。ではいったい、HSPの教員は学校現場でどのようなことに悩みを抱き、もしくはその特性をどのように生かしているのだろうか。HSP教員の当事者と、専門家にそれぞれ話を聞いた。

ミラーニューロンの反応が強く感受性が豊か

HSPは感受性が強く、あらゆる刺激の影響を強く受ける気質だ。そのため、ふとした出来事に心を大きく揺さぶられたり、何げない発言に深く傷ついてしまう。置かれた環境によっては生きづらさとも感じかねないが、一方で、豊かな感受性を武器に大いに活躍できる存在でもある。

とも
公立小学校教員
大学卒業後、勤務していた公立小学校を一度は退職。 休職後は私立小学校を経て再度、公立小学校に復職した。 Twitterアカウント「とも・HSP教員」にて『人間関係で苦しまないジブン作り』を発信する
(画像:本人提供)

公立小学校の教員でHSPを自認している「ともさん」。児童・生徒時代を振り返り、「授業中に先生から指名されると緊張で喉が詰まってしまい、当てられるだけで泣くような子でした」と語る。引っ込み思案だった「ともさん」が教員を志したのは、ある先生の言葉がきっかけだった。

「中学校3年生の担任が、『とも君は誰よりも全体をよく見ることができるから』と僕を卒業イベントの司会に推薦してくれたんです。『司会に必要なのは、話す力より周りを見る力だ』と言われ、『自分にはそんな長所があったのか』と気づかせてくれた先生に強く憧れました。それ以来、ずっと教員を目指してきたんです」

現在「ともさん」はSNSを通じて「人間関係で苦しまないメンタルづくり」について発信したり、同じHSPの教員やHSC(Highly Sensitive Child/ハイリー・センシティブ・チャイルド)の児童・生徒を支援するなど、幅広く活動している。

HSPの気質が垣間見えるエピソードだが、ここでいま一度、HSPの特性を詳しく見てみよう。HSP研究の権威である、心理学者エレイン・アーロン博士の専門家認定プログラムを日本人で初めて修了した、HSPカウンセラー・HSP専門キャリアコンサルタントのみさきじゅり氏は次のように説明する。

みさきじゅり
HSP専門キャリアコンサルタント・HSP映画コーディネーター
自身もHSS型HSPを自認している
(写真:本人提供)

「HSPの人は感受性が非常に豊かで繊細で、また傷つきやすいです。人それぞれ程度は異なりますが光・音・言動などの刺激を受けやすく、ささいなことがとてつもなく気になる傾向にあります。これには、ミラーニューロンという脳内の神経細胞が関係しています」

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