新任・若手教員「メンタルヘルスの悩み」誰に相談?校長はカウンセリング講習を 保護者は「お客様」ではない、入学式から伝えて

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教員は恒常的に残業時間が長く、保護者対応や同僚との関係にも神経をすり減らす。中には、あまりの多忙さとストレスで極限まで追い詰められる人も。そんな教員を少しでもサポートしようと「教員のサポートグループ(悩める教師を支える会)」を20年以上運営するのが、明治大学文学部教授の諸富祥彦氏だ。『教師の悩み』(ワニブックスP L U S新書)、『いい教師の条件』(SB新書)をはじめ多数の著書を持つ諸富氏に、教員のメンタルヘルスケアについて聞いた。
諸富祥彦(もろとみ・よしひこ)
筑波大学人間学類卒業、同大学院博士課程修了。千葉大学教育学部講師、助教授を経て、明治大学文学部教授。教育学博士。現場教師の作戦参謀、「教師を支える会」代表。臨床心理士、公認心理師、上級教育カウンセラーなどの資格を持つ。著書に、『いい教師の条件』(SB新書)『教師の悩み』 (ワニブックスPLUS新書)『教師が悩んだときに読む本』(図書文化社)など多数。「諸富祥彦のホームページ」
(写真:本人提供)

諸富氏が「教員のサポートグループ(悩める教師を支える会)」を設立したのは1999年。千葉大学教育学部に勤務しながら、学校でもコンサルテーション(作戦会議)のために年間に30〜40校を訪問する中で、教員の置かれた状況を目の当たりにしたという。当時はマスコミによる学校の管理教育や教員へのバッシングも盛んに行われており、心身共に追い詰められる教員の実情を看過することはできなかった。

「月に1度、教員同士で相談し合ったり問題の解決方法を模索する場を設けています。現在は4〜5人程度ですが、以前は30人近く集まる回もありました。教員の悩みは教員にしかわからないものがあります。異業種のカウンセラーではなく、同じ立場で同じ悩みを持つ相手だからこそ救われる側面もあり、『この会に参加して教員を辞めずに済んだ』『死のうと思っていたが自殺は思いとどまった』という方もいました。教員にはまじめな人が多いので、限界まで頑張ろうとしてしまうのです」

教員の仕事がつらくなったらまず「仲間」を見つける

教員のメンタルヘルス不調の主な原因は「多忙さ」と「人間関係」。公立学校教員の平均残業時間は月に123時間という調査結果(※)もあり、過労死ラインの80時間を大きく上回っている。教員の業務は授業準備や成績処理のほか、事務作業や課外活動・行事準備、教育委員会への書類作成など多岐にわたるうえ、保護者や同僚・管理職との人間関係にもストレスを抱え、毎年5000人超が精神疾患による休職に追い込まれる。しかしこれも氷山の一角だ。教員が自分の身を守り、仕事を続けていくために何ができるのか。
※ 2022年9月の連合総研シンポジウム内資料「2022年 教職員の働き方と労働時間に関する実態調査」

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