ネットバンキングの利用も実現、「学校事務職員」が仕掛ける働き方改革の中身 「情報窓口」のポジションを生かした提案が可能

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学校事務職員は今、総務・財務などに通じる専門職として、より主体的・積極的に校務運営に参画することが期待されている。教職員の働き方改革を推進するためにも、そのポジションの重要性はますます高まっているといえるだろう。そこで今回は、インターネットバンキングの導入をはじめ、事務職員の立場から積極的に学校の働き方改革に取り組んできた、栃木県・那須中央中学校事務長の濱岡功氏に話を聞いた。

「思いがありながらも疲れ切っている先生を何人も見てきた」

那須中央中学校事務長の濱岡功氏は、学校事務職員として勤続34年を数えるベテラン職員だ。「ウェルビーイングな働き方ができる学校づくり」に日々取り組んでいるというが、その原点は、長年見つめ続けてきた教員たちの姿にある。

濱岡功(はまおか・いさお)
栃木県那須中央中学校事務長
1989年3月栃木県立足利商業高校を卒業、4月栃木県職員採用、学校事務職員として県内数地区の公立小中学校に勤務し、勤続34年を迎える。勤務の傍ら、玉川大学通信教育課程にて9年間学び、小学校教諭1種免許取得・卒業し学位を得る。放送大学エキスパート認証(地域生涯学習支援)、社会教育通信協会認定の生涯学習コーディネーター資格も有する。2018年より現職。栃木県公立小中学校事務長会会長として県内事務長の資質向上と後進の育成に取り組むほか、共同実施の加配を受け町内全小中学校に関わる業務改善、那須町教育DXプロジェクト推進委員として教育のDX化と学校の働き方改革に力を注ぐ

濱岡氏が学校事務職員になったのは1989年、19歳の時。最初に赴任したのは事務職員が複数配置される大規模中学校だった。毎日の主な仕事は、ペンで文書受付簿に件名を書き続けることと、旅費入力用紙に数字のゴム印スタンプを押すこと。事務機器といえばワープロくらいで、会計は紙の専用出納簿に手書きして、計算は電卓を使って金額に間違いがないか確かめていた。

それから34年。学校を取り巻く状況や校務を処理する環境は大きく変わった。事務機器はノートパソコン、タブレットへと進化し、今では学校に届く公文書のほとんどはメール経由だ。ICT機器や校務支援システムの利用により、ペンや電卓を使わなくても業務処理や会計処理ができるようになった。

一方、どれだけ時代が変わっても、教員はつねに子どもたちに寄り添うことを第一に考え、給食を食べる時間もそこそこにテストの丸つけなどを行い、子どもたちの問題をどう解決するか何時間もかけて話し合ったりしている。子どもたちが帰宅後も遅くまで職員室で校務の処理をし、行事に向けて休む間も惜しんで準備する――そのように教員たちが息つく暇もなく働く姿に、濱岡氏は胸を痛め続けてきた。

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