SBIが「不動産会社」を次々に取り込む2つの思惑 苦い過去から再始動、2年弱で5社グループ入り

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かつて不動産事業から事実上撤退した苦いトラウマがあるSBI。再び買収や出資にアクセルを踏む背景には、同社の成長戦略が密接に関係している。

SBIが不動産業にのめり込む背景には何があるのか(撮影:今井康一)

SBIホールディングス(HD)が不動産会社を相次いでグループに引き込んでいる。

同社は2月20日、東証グロース市場に上場する不動産ファンド運用会社「クリアル」の株式を取得し、持ち分法適用会社化する。SBIが不動産会社をグループに加えるのは、今回が初めてではない。2021年4月以降にグループ化した不動産関連企業は、クリアルが5例目となる。

同期間にSBIが実施したM&A(合併・買収)13件のうち、不動産関連企業は約4割に上る。

不動産を「小口化」して販売

クリアルは、個人投資家向けに都心部の賃貸マンションなどのファンドを組成・運用している。1~2年程度の運用を行った後、物件を機関投資家に転売してファンドを閉じる。SBIの狙いの1つは、売却される物件の受け皿となることだ。

SBIは2018年から、不動産を1口500万円単位の信託受益権(賃料などを受け取る権利)として小口化し、個人投資家に販売している。SBI証券のほか、対面営業の拠点であるSBIマネープラザを軸に、資産運用や相続対策の商品として富裕層に営業をかけている。

営業は地方にも広がる。SBIは資本提携を結んだ地方銀行とも共同でマネープラザを展開しており、地銀から顧客の紹介を受けているためだ。「信託受益権とはいえ、東京の不動産を所有できることに魅力を感じる客は多い」(SBIの出資を受け入れている地銀の幹部)。小口信託受益権の累計販売額は2022年末時点で200億円を突破した。

SBIが不動産の小口販売を推進するのには理由がある。

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