銀行よりカードが主役、「三井住友経済圏」の成否 「スーパーアプリ」に賭けるリテール改革の全貌
三井住友が社運を懸けたスーパーアプリ「オリーブ」。SBIやTポイントを味方につけ、独自の経済圏を確立できるのか。
「従来の金融決済サービスの概念を打ち破る、まったく新しいサービスだ」。三井住友フィナンシャルグループ(FG)の太田純社長は会見の場で、高らかに宣言した。
2月3日、三井住友が社運を懸けた事業がヴェールを脱いだ。その名は、コーポレートカラーである深緑色を想起させる「Olive(オリーブ)」。リテール(個人向けの金融サービス)の核となる「スーパーアプリ」だ。
銀行口座の管理や証券投資、カード決済、保険加入、ポイント……。オリーブはあらゆる金融サービスを同じIDに紐づけ、一気通貫で利用できるサービスだ。それぞれが独自に展開してきたサービスを、アプリ内に集約した。
必然だった「本業」の主役交代
オリーブ開発の目的は、個人向け取引を原則デジタルへと移行し、グループ内で金融取引を回遊させることだ。
三井住友銀の口座に預金をし、支払いは三井住友カードで行う。資本業務提携を結んでいるSBIグループなら、投信の積み立て投資を三井住友カードで決済。一連の取引では、三井住友が発行するVポイントが貯蓄・利用できる。あらゆるシーンで自社サービスが利用される仕掛けとなる。
鳴り物入りで登場したオリーブは、三井住友が長年推進してきたリテール戦略の集大成と言える。その肝は、グループの中核企業である三井住友銀を差し置いて、三井住友カードを主役に据えた点にある。
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