銀行よりカードが主役、「三井住友経済圏」の成否 「スーパーアプリ」に賭けるリテール改革の全貌

✎ 1 ✎ 2
拡大
縮小

三井住友が社運を懸けたスーパーアプリ「オリーブ」。SBIやTポイントを味方につけ、独自の経済圏を確立できるのか。

オリーブの発表会見に登壇した三井住友フィナンシャルグループの太田社長。乾坤一擲のスーパーアプリで、リテールの殻を破れるか(撮影:尾形文繁)

特集「三井住友の野望」の他の記事を読む

「従来の金融決済サービスの概念を打ち破る、まったく新しいサービスだ」。三井住友フィナンシャルグループ(FG)の太田純社長は会見の場で、高らかに宣言した。

2月3日、三井住友が社運を懸けた事業がヴェールを脱いだ。その名は、コーポレートカラーである深緑色を想起させる「Olive(オリーブ)」。リテール(個人向けの金融サービス)の核となる「スーパーアプリ」だ。

銀行口座の管理や証券投資、カード決済、保険加入、ポイント……。オリーブはあらゆる金融サービスを同じIDに紐づけ、一気通貫で利用できるサービスだ。それぞれが独自に展開してきたサービスを、アプリ内に集約した。

必然だった「本業」の主役交代

オリーブ開発の目的は、個人向け取引を原則デジタルへと移行し、グループ内で金融取引を回遊させることだ。

三井住友銀の口座に預金をし、支払いは三井住友カードで行う。資本業務提携を結んでいるSBIグループなら、投信の積み立て投資を三井住友カードで決済。一連の取引では、三井住友が発行するVポイントが貯蓄・利用できる。あらゆるシーンで自社サービスが利用される仕掛けとなる。

鳴り物入りで登場したオリーブは、三井住友が長年推進してきたリテール戦略の集大成と言える。その肝は、グループの中核企業である三井住友銀を差し置いて、三井住友カードを主役に据えた点にある。

次ページ三井住友カードの台頭
関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内