体罰常習教師の処分に「停職1カ月」は軽い? 「殴る蹴る」の暴力だけが体罰ではない
「また、刑事事件としても立件が可能です。胸ぐらを突き飛ばしたり、頭を平手でたたくなどの行為については『暴行罪』。『殺す』などの暴言を浴びせる行為については『脅迫罪』が、それぞれ成立する可能性があります。
また、過去に4回処分を受けているのに、なお行為に及んだことから、悪質性は高いとも判断されるでしょう」
実際に、体罰教師が告訴されたケースはあるのだろうか?
「過去、告訴に至ったケースは、複数、存在しています。最近ですと、2012年に大阪市内の高校で生徒が体罰後に自殺した事件において、その翌年、遺族が部活の元顧問を大阪府警に刑事告訴しました。その後、元顧問は在宅起訴され、傷害と暴行の罪に問われた一審で、懲役1年(執行猶予3年)の有罪判決が言い渡されています」
元顧問側は控訴せず、有罪が確定した。また、元顧問は事件後、懲戒免職となっている。
特に発生しやすいのは「部活動」
ところで、殴る蹴るといった明確な暴行行為がない場合でも「体罰」といえるのだろうか。
「誰もがわかる『殴る蹴る』といった直接的な行為だけでなく、『児童生徒に肉体的苦痛を与えるようなもの』も含まれます。たとえば、正座・直立など特定の姿勢を長時間強制する行為なども体罰に含まれているのです。
ただ、すべての身体的接触が体罰にあたるわけではありません。授業中に悪ふざけしている生徒をいさめる目的で肩や腕を掴んだ場合など、状況や行為しだいでは生徒に対する『懲戒権の行使』として、適法と判断されるケースもあります。
教員と身体的接触があったら、すぐさま『体罰だ』とは言い切れませんので、注意が必要です」
高島弁護士はこれまでの経験から、特に部活動の時間帯に体罰が発生しやすいと指摘する。
「体罰は、部活動においてよく発生するのが特徴です。授業中における指導とは異なり、部活動では、顧問が不当な目的で暴行するケースが極めて多いのです。今回も『ルールを守らなければしばかれます』といった理不尽な誓約を要求していることから、『懲戒権の行使』として暴行が許容される可能性は、極めて低いのではないでしょうか」
高島弁護士はこのように述べていた。
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