
甘えん坊が強くなり、今では「トラブルもウェルカム」に
――英国留学について話したときのご家族の反応は?
父には「英語を勉強するだけならもっと安い国がある。なぜ英国なのか」と聞かれました。確かに英国留学は費用がかかる。もともとうちはお小遣いやお年玉がなくて、欲しいものはその理由を親にプレゼンテーションして買ってもらうという家庭でした。父は超ケチなんです(笑)。お小遣いが欲しいなと思ったこともあったけど、自分が理論とパッションを持ってプレゼンすれば買ってもらえたし、そこまでいかないときは、自分でもさほど欲しくないんだなと納得できました。そういう意味で、英国留学は「絶対に欲しいもの」だった。
何よりも、両親と離れて海外に飛び出すなんてことは、実は僕自身がいちばんしたくないことでした。海外経験が増えるほど日本が好きになっていたし、とにかく僕はシャイだし。そんな僕が、今までとまったく違うことをしたいと思えるモチベーションが、ハリー・ポッターの国である「英国」だったんです。父には、そのモチベーションがなくて頑張れるほど僕は強くないし、そういう自分を強くしたいとも伝えました。甘えん坊の僕がそこまで言うという本気度を、最終的には両親ともわかってくれた。ただし、ネイティブでも難しい制度であるIB(国際バカロレア)を取ること、通常は3年間の留学を2年間で修めることという厳しい条件付きでした。
――ご苦労もあったと思いますが、留学先での生活はいかがでしたか。
僕は日本にいたときから、興味のない教科を学ぶことにとても苦痛を感じていました。留学した高校では、例えば6教科のうち4教科が選択制で、30教科ぐらいの中から興味のあるものを選ぶことができました。「こんな世界もあるんだ」と新鮮でした。
苦労したのは食事が「ジャガイモ地獄」だったことぐらい(笑)。カルチャーショックは時々あったと思いますが、振り返ってそんなに大変だったと思うことはありません。
寮生活で初めて外国人相手に文句を言いに行ったときは、ドキドキしたし怖かったし、そのときのことをまとめた動画はバズりもしたけど、問題が起きても解決するたびに動じなくなっていくんですよね。大抵のことは何とかなるので、そこにストレスを抱えるだけ無駄じゃないですか。強くなったなと思うし、YouTubeのネタになるので、むしろ今はトラブルもウェルカムです(笑)。
「自分がどういう人間かは、行動して初めてわかること」
――大学進学や志望校を決めたときのことを教えてください。
受験時にも興味のあることが見つかっていなかったので、大学には行かなくてもいいと思っていました。でも米国のミネルバ大学を受けた理由の1つは、面白い人に出会えそうだと思ったこと。もう1つは、その時点で「合格率1.9%」と、同大学が超難関だったことです。ミネルバ大学は過去問も出回らないし、入るのはほぼ不可能に思えた。だからこそ挑戦してみたいと思ったんです。補欠のような形でしたが運よく合格でき、入学してみたらやっぱりものすごく優秀な人ばかりでした。友達と話している時間はとても楽しいです。
大学は米国を皮切りに、ドイツやアルゼンチンなど、7カ国を回りながらオンラインで受講するというスタイル。2年目の今はインドのハイデラバードで、ビジネスを専攻して学んでいます。ディスカッションで求められることのレベルが高く、予習にも1授業につき2~3時間かかるのでかなり大変です。