悲報!酒はどんなに「少量」でも健康を破壊する アルコール分解物質がDNAを傷つけ、がんを誘発

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お酒を飲む人の全員が健康を害するわけではない。リスクは、食事、運動、喫煙といった生活習慣上のあらゆる因子が組み合わさって上がったり、下がったりする。

「どのリスク因子も重要だ」。エッサー氏は「公衆衛生学の世界では、その人が抱えている因子の数が発症リスクの増加につながることがわかっている」と話す。

さらに、基礎疾患とアルコールが相互に作用して、健康に影響を及ぼす可能性もある。例えば、「高血圧の人は、おそらく飲酒すべきではない。飲むとしても、間違いなくごく少量に抑えなければならない」と、ピアノ氏は言う。

酒は完全に断つべきか?

健康を改善するのに、酒をきっぱり断つ必要はない。量を少し減らすだけでも効果はある。現在の酒量が推奨限度を超えているのであればなおさらだ。ナイミ氏によると、リスクは「1日に2杯を超えると一気に上がる」。

毎日軽く飲んでいる人も、量を少し減らせば効果が期待できる。試しに何日かアルコール抜きで過ごしてみよう。「以前より気分が良くなれば、体が何かを伝えようとしている証拠だ」と、国立アルコール乱用・依存症研究所のジョージ・クーブ所長は話す。

注目すべきことに、話を聞いた専門家には、完全な禁酒を訴えた人は誰もいなかった。ただし、アルコール使用障害があるとか、妊娠している場合は別だ。「完全な禁酒を推奨するつもりはない」と、クーブ氏は言う。「アメリカでは禁酒法が施行されたこともあるが、うまくいかなかった」。

とはいえ、専門家の全体的なアドバイスは「飲む量を減らし、長生きしなさい」ということになると、ナイミ氏は言う。「結局のところ、それが基本だ」。

(執筆:Dana G. Smith記者)
(C)2023 The New York Times

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