貸会議室のTKP、シェアオフィス「損切り」の事情 「絶好の商機」と経営資源を貸会議室に集中

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シェアオフィス事業から完全撤退する貸会議室大手のTKP。28億円もの減損を出してまで損切りした背景にある問題とは。

TKPの看板
オフィスビルの空室が増える中、TKPは祖業の貸会議室事業を再強化して反転攻勢に出る構えだ(記者撮影)

「これまでの3年間は冬の時代だったが、ようやく自分たちの力をフルに発揮できる状況になった」。貸会議室大手のティーケーピー(TKP)の河野貴輝社長は、1月12日に行われた今2023年2月期第3四半期(2022年3月~11月期)決算説明会の場で、そう語った。

同日に公表されたTKPの2023年2月期第3四半期の実績は、売上高が386.5億円(前年同期比17.5%増)、営業利益が27.7億円(前年同期実績は11・1億円の赤字)だった。

コロナ禍に伴う外出自粛で、TKPの主力である貸会議室事業は前期まで打撃を受けた。だが、足元では企業による研修やセミナーでの利用が増え、需要が本格的に回復した。

通期業績予想については、同社はすでに2022年12月に営業利益を上方修正している。2023年2月期の売上高は495億円(前期比10.8%増)、営業利益は31億円(前期実績は8.8億円の赤字)となり、V字回復を果たす見通しだ。

TKPの中村幸司取締役CFO(最高財務責任者)は「貸会議室の需要は完全に回復しており、次にどう攻めるかという段階に来ている」と説明する。

3期連続で最終赤字

業績の復調が鮮明になったものの、今回の通期見通しの修正には気になる点がある。通期の純利益は従来計画の4億円から下方修正し、15億円の赤字(前期は32.1億円の最終赤字)になるとしたのだ。3期連続で最終赤字に沈むことになる。

純利益を下方修正した原因は、シェアオフィス事業を展開するグループ会社「日本リージャスホールディングス」(日本リージャス)の減損にある。

TKPは2019年に特別目的会社(SPC)を通じて、シェアオフィスを展開するIWGの日本法人である日本リージャスを子会社化した。また同年10月には、IWGの台湾子会社13社(台湾リージャス)も買収しており、合計でおよそ500億円もの資金を投じていた。

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