下院議長の選出は大荒れ、米政治を占う「3大要素」 「マッカーシー騒動」で終わらない混乱リスク
2022年11月の中間選挙の結果、議会では民主党は上院を堅持したものの共和党が下院を奪還し、1月3日、第118議会は「ねじれ議会」で始動した。
開会当初から下院は議長選出で大荒れとなった。下院共和党の保守派で構成する「フリーダムコーカス(自由議員連盟)」が中心となり、共和党トップのケビン・マッカーシー氏の議長就任に抵抗。主に地元有権者の反エスタブリッシュメント感情に応じ、既存政治を破壊することをアピールした。1月7日未明、15回目の投票でようやくマッカーシー氏が選出された。
この既存政治を破壊するといった行為のルーツは、1980年代以降の共和党ニュート・ギングリッチ議員時代(後に議長就任)まで遡り、トランプ前政権時代に始まったことではない。下院保守派は2015年にジョン・ベイナー下院議長を退任に追いやり、後任のポール・ライアン下院議長をも悩ました。
マッカーシー氏は議長に選出されたものの、同氏はSINO(Speaker In Name Only:名ばかりの議長)となる。マッカーシー氏は議長就任のために従来の議長権限を保守派に大幅に譲渡してしまったからだ。いつ議長職から追い出されるかも分からない不安定な状態が続き、議会運営は保守派に振り回される見通しだ。
高まるデフォルト・リスク
議会はほぼこう着状態に陥るものの、アメリカ産業界にとって2023年は激動の1年となることが見込まれる。
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