上場企業3500社超の約7割を占める3月期決算。つまり、今の時期は多くの企業で期末を控えた書き入れ時だ。営業や販売の現場では、この月末にかけて少しでも売り上げを伸ばそうと、あの手この手の努力に奔走しているだろう。
企業が持続的に発展していくためには、安定して利益を出していくことが必要だが、いくら原価や費用を抑えても肝心の売り上げ(営業収益)がさっぱり稼げなければ意味がない。なんだかんだで利益の源泉はまず売り上げだ。
言うまでもないが売り上げ(売上高)とは、企業が商品やサービスの提供などの営業活動によって得た収益のこと。業種や業態、企業ごとに売り上げの稼ぎ方はさまざまだ。では、この売り上げを効率的に上げているのは、いったいどんな企業なのか。東洋経済オンラインは上場企業を対象とした「1人当たり売上高」を調べトップ500社をランキングした。
営業力や収益性、効率性の目安に
その名のとおり、それぞれの企業の直近本決算における売上高を従業員数で割って算出した数値で、5年前との増減比率や全体の売上高、営業損益、平均年収も併載した。従業員数には一般的に派遣やパート、アルバイトなどの非正規社員(臨時従業員)が含まれていないので、実質的な頭数で割り出した数値とは少しズレがあるかもしれないが、企業の営業力や収益性、効率性の目安になる。
1位はトーメンデバイス。トーメンと2006年に合併した豊田通商系の企業で、半導体や液晶の専門商社だ。サムスン電子のDRAM・フラッシュメモリの扱いを主体としている。扱っている商品と専門商社という業態の特性があるかもしれないが、前期(2014年3月期)でみると113人で1747億円を売り上げており、1人当たり売上高は15億4561万円にも及ぶ。一方、営業利益率は1%台と収益率は決して高くない。
2位の富士石油(1人当たり10億9322万円)や3位東燃ゼネラル石油(同9億8266億円)などのように、上位には石油会社の姿が目立つが、原油市況の影響もあり、前期決算は赤字。業種・業態が同じだったり、近かったりする会社同士が、似通った数値になっているケースは少なくなく、1人当たり売上高が大きい企業であっても、必ずしも効率的に利益を稼いでいるワケではないという傾向も読み取れる。
1人当たり1億円の売り上げを稼ぐ企業は約400社。上場企業のうち1割強に当たる。未上場会社でも目安となりそうで、この水準を超えるとすればかなり優れているといってもいいかもしれない。