サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会で、リオネル・メッシ選手を擁するアルゼンチンがPK戦の末にフランスを破り、36年ぶり3回目の優勝を果たした。インフレ率が100%近くまで高騰し、数カ月にわたり経済的にも政治的にも不安定な状態が続くアルゼンチンにとって、高揚感と幸福感に満ちあふれた、まれに見る瞬間をもたらした。
首都ブエノスアイレスの中心部には18日午後、国旗の色であるスカイブルーと白を身にまとったファンが集まり、優勝を祝った。サッカー大会最高峰の舞台での勝利は、日々の暮らしの窮状を忘れさせてくれる待望の出来事だった。
アルゼンチンは3対3の同点で延長戦を終えた後、PK戦(4ー2)の末にフランスを破った。
アルゼンチン代表の全7試合をカタールで観戦したエミリアーノ・ピアノ(41)さんは優勝を祝う大勢のファンの中で「個人的に夢がかなった。5回のワールドカップを経て、メッシがついに世界チャンピオンとなるのを見ることができた」と電話で語った。
ピアノさんなど多くのアルゼンチン国民にとって、今回の優勝は来年も続くと予想される経済的に困難な1年をある程度和らげるものとなる。
危機にたびたび陥ってきたアルゼンチンで長年の問題となっているインフレ率は年初時点で50%程度だったが、100%近くの水準で今年を終える見込みだ。雇用が回復し、失業率は低下しているものの、多くの新規従業員の賃金伸び率はインフレ率を下回っており、労働者の購買力が低下していることを示している。極度の貧困が増加している。