自分の気持ちを表現し合う「演劇教育」が子どものコミュ力を育てる訳 子ども創作舞台演出家・むらまつひろこに聞く

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演劇教育で地域、学校、保護者をつなぐ

こうしたむらまつ氏の活動に興味を抱き、自身の子どもをワークショップに参加させたのが、小金井市内在住の保護者であり「こがねい子ども創作舞台プロジェクト」メンバーの一員である齋藤瞳氏だ。

「私自身が演劇好きだったこともあり、プロの方に子どもの気持ちを引き出してもらえるような体験をさせたいと思っていました。たまたま近隣でプレイキッズシアターのワークショップがあることを知り、当時小学生だった子どもたち2人を参加させたところ、演劇の手法を用いて子どもたちの心の深い部分に入っていくむらまつさんのアプローチがすばらしくて。子どもたちの成長も見て取れ、地域の子どもたちにも体験してもらいたいと思いました」

齋藤瞳(さいとう・ひとみ)
「こがねい子ども創作舞台プロジェクト」実行委員。2人の子どもの母親

PTA活動を積極的に行い市内の保護者や教育関係者とつながりを持つ齋藤氏による働きかけをきっかけに、有志が集まって実行委員会を結成。2021年4月、「こがねい子ども創作舞台プロジェクト」が発足し、活動がスタートした。

市内の小学4年生〜中学生を対象に参加者を募り、市内各所を会場に全15回のワークショップを行いながら子どもたちのアイデアと言葉と思いを紡ぎ、一つの舞台作品をつくり上げ、市内の会場で舞台発表を行うというプロジェクトだ。初年度の「こがねい子ども創作舞台プロジェクト2021」が好評だったため、第2回も開催することが決定。22年10月より、「こがねい子ども創作舞台プロジェクト2022」がスタートした。実行委員長の前田薫平氏は、こう話す。

「地域と学校と保護者って、つながっているようでいて、実はつながっていない部分も多いと思うんです。このプロジェクトで『子どもたちが舞台をつくり上げる』という活動は、子どもたちも楽しいし、関わる保護者や活動を見守る地域の人も楽しいものです。また、市内のさまざまな学校や学年の子どもたちが交流を持つ機会を創出するため、教育委員会・教育長からサポートしていただきながら、市内の全小・中学校にプロジェクトの案内チラシを配布し参加者を募るようにしています。地域、学校、保護者がうまく連携しながら、演劇教育の裾野を少しずつ街全体に広げていければと思っています」

前田薫平(まえだ・くんぺい)
「こがねい子ども創作舞台プロジェクト」実行委員長、小金井市立小中学校PTA連合副会長。1児の父親

市内で子どもと地域を文化でつなぐ活動を行うNPO法人「遊び・文化NPO小金井こらぼ」実行委員会事務局長の水津由紀氏は、これまで自身の団体で、子どもたちと舞台や音楽を鑑賞したり、遊びを含めた文化体験を提供したりなどの活動を行ってきた。

その中で、ワークショップ形式の演劇教育の必要性を感じていたところ、前田氏より今回のプロジェクトの話を聞き、協働することに。実行委員会事務局長として、活動会場の確保や整備、事務手続きなどを担当している。

「現在、むらまつさんをはじめとするプレイキッズシアターの方に全面的にお力をお借りしながら、とてもよい形でプロジェクトを進めることができています。小金井市内には学芸大学があり、表現教育コースも設置されています。今後は、ここで学ぶ学生さんや先生方のサポートも受けながら、活動場所や発表場所としての場をお借りするなど新たな土壌づくりにも目を向けつつ、小金井市に芽吹いた文化を地域でどのように継続させていくのかを考えていきたいですね」(水津氏)

水津由紀(すいづ・ゆき)
「こがねい子ども創作舞台プロジェクト」実行委員会事務局長、子ども文化地域コーディネーター。3人の子どもの母親

“遊ぶ”から“つくる”へ、ワークショップで自分を表現する子どもたち

22年10月のとある週末。「こがねい子ども創作プロジェクト2022」の第3回のワークショップの様子を取材させてもらった。市内の公共施設に、約20名の子どもたちが集合。約2時間の活動の時間の前半は、“遊び”をメインとした“安心・安全の場”づくりだ。

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