JR九州「日田彦山線BRT化」工事の進捗状況は? 豪雨で被災し鉄道での復旧断念、2023年夏開業

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彦山から次駅の筑前岩屋までは、列車では8〜9分であったが、国道は小石原の中心地を経由して山越えし、さらに現状の代行バスは大行司駅付近に下った後、脇道に折り返す形で1駅手前の岩屋に向かうので駅間36分を要する。したがってBRTはこの区間を中心に考えられた。

釈迦岳トンネルを出てすぐの筑前岩屋駅は、トンネルからの湧水が名水として名高いが、彦山方の沢で大きな被害が出た。現在はそこにBRT用の新しいコンクリート橋が架けられている。1990年代築のコミュニティー施設兼用の駅舎はそのまま活用されるが、ホームはやはりすでにない。

宝珠山から日田へ再び一般道走行

日田彦山線は、当駅から築堤や山襞に沿う形で平地に下ってゆき、その途上にいくつものコンクリートアーチ橋がある。「日本の棚田百選」にも選ばれている一帯の棚田とともに景観上の名所である。

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線路が山腹を通っていた大行司駅は、その山肌が崩壊して築堤下の駅舎まで押し流されたが、BRT化で決着する前の2019年、鉄道復旧を目指す段階で新駅舎が建てられた。次の宝珠山駅はホームに福岡大分県境が通る駅として知られていた。BRT専用道区間と一般道区間の接点としてロータリーが設けられるが、ホームの県境部分はモニュメントとして残される。また、駅舎はそれ以前の駅舎を模す形で1990年代に建てられた木造建築で、交流施設でもあるため引き続きBRTの駅舎として使用される。

以後、BRTとしては一般道走行区間となるが、旧線路と道路は数百メートルの間隔を隔てることになる。一方、夜明からは久大本線沿いをたどり、光岡―日田間については朝夕の一部の便が経路を変えて日田市役所などに立ち寄り利便性をより高めることになっている。

鉄道ジャーナル編集部

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車両を中心とする伝統的な鉄道趣味の分野を基本にしながら、鉄道のシステム、輸送の実態、その将来像まで、幅広く目を向ける総合的な鉄道情報誌。創刊は1967年。

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