JR九州「日田彦山線BRT化」工事の進捗状況は? 豪雨で被災し鉄道での復旧断念、2023年夏開業

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工事は2020年8月に着手された。その後、計画の進捗に合わせて2022年5月に路線名や愛称、開業時期などが、翌6月には駅の設置計画、7月には下り勾配で回生電力を蓄電できる小型電気バス4台を含む6台を導入することが発表されている。

正式な路線名「日田彦山線BRT」とともに、「沿線地域の想いを乗せ、未来に向け駆け抜けていく『日田“彦”山線』の“星”となる」よう願いを込め、「BRTひこぼしライン」の愛称も付され、開業時期は2023年夏と発表された。駅は、鉄道時代の12駅(久大本線の駅を含む)に、学校や病院等、生活に密着したエリアに25駅を追加して合計37駅とする。

彦山駅、木造駅舎に代わり防災拠点の新施設に

2022年9月、西九州新幹線開業にあわせてBRT化区間を訪ね、現在の列車代行バスから工事が進む様子を見た。

列車運行区間とBRT区間の接点となる添田駅。列車の反対側は地面が少し嵩上げされておりBRT乗り場となる(撮影:鶴 通孝)

鉄道とBRTの接点となる添田駅は、以前の島式ホームの1面2線が1線に整理、片側は線路を撤去した跡を嵩上げのうえ舗装し、列車とバスが対面で乗り継げるようにする。また、従来のホームと駅舎が離れていた立地についてはホームに券売機等を設置するとともに、駅舎との間の敷地には一般車やタクシー用のロータリーを設ける。

代行バスは次に道の駅に鉄道駅が併設された歓遊舎ひこさん駅に入り停車した後、線路を乗り越して豊前桝田へ進む。専用道化されない区間は往時の線路が残っている。

添田から13分で彦山駅に着く。鉄道時代は、霊峰英彦山の玄関として堂々とした木造駅舎を構えていたが、老朽化して荒れていたので、BRT化工事に伴って跡形もなく解体された。構内もかつての貨物ホームの遺構を残して更地化され、広い空間となっている。ここについても、地元添田町がコミュニティー施設を備えた防災拠点施設を新築する。

これよりBRTは専用道区間に入る。筑前岩屋方は走行路への整備が進んでおり、すでに舗装が進みつつある。すぐ先には日田彦山線名物であったコンクリート製アーチ橋の一つがあり、BRTのバスはその上を渡ってゆくことになるが、下を流れる川は真っ白なコンクリートの護岸が目立ちかえって被災時の状況を想像させる。

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