人間関係のストレス減、対話で「NVC」非暴力コミュニケーションが注目のワケ NVCが互いに共感できる協力的な関係に変える

(写真:今井氏提供)
「私のワークショップでもNVCの実践を通じて『子どもとの関係が変わった!』と保護者の方がびっくりするケースがよくあります。例えば『子どもが反抗的で言うことを聞かない』と悩んでいた保護者の方がいました。子どもに腹が立つし、そんな自分にも嫌悪感を持っていたのです。しかし、共感的に聴いてもらう実践を通じて、自分自身の感情をありのまま受け止め、その感情の奥には、わかり合うこと、つながり、安心、信頼といったニーズ(願い)があることに気づきました。本当に大切にしたいことに気づくと、ご自身の言動も自然に変わってきて、今では子どもと感情や願いを素直に話し合える関係になっているそうです」
ここで誤解してほしくないのは「話し上手の人だけがNVCを使えるのでは?」と思ってしまうこと。NVCは誰もが使えるものだ。例えば、学校の現場ではオルタナティブスクールをはじめ、いじめや不登校で悩んでいる子どもたちに対しても有効だという。
最近ではSNSでのやり取りが増え、対面によるコミュニケーションや自己表現を苦手とする若者も少なくない。NVCを知ることによって「自分のことがよくわかった」と話してくれる若者もいたという。NVCで他人に共感的に話を聞いてもらうことで、自分の考えが整理され、自己理解(自己共感)が進む、「実はこの、『自分自身とのつながりを育むことが、他者との豊かなつながりも育む』という実感が、NVCを学び続けるモチベーションにつながっているのかもしれない」と今井氏は話す。
「よく教育の現場では、褒めることが推奨されますが、NVCでは褒める代わりに『感謝を伝える』ことを勧めています。うれしい気持ちになったときの出来事は、たいてい自分のニーズが満たされたとき。それを観察とともに伝えるのです。例えば、『あなたが私にこんなことをしてくれたとき、私はこんなこと(ニーズ)が満たされてうれしかった。だから、ありがとう』と」。
(文:國貞文隆、注記のない写真:Graphs / PIXTA)
東洋経済education × ICT編集部
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