豪華列車「雪月花」、強気の5000円値上げの勝算 えちごトキめき鉄道が食事をリニューアル

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リニューアル後の「えちごトキめきリゾート雪月花」の料金は、食事付きの通常プランで2万4800円となり、これまでからは5000円のアップとなる。それでも、この「商品」にはそれだけの値打ちがあるということだろう。今回はさらにお土産付きの特別地域貢献プラン2万9800円もラインナップされ、このプランではお客様の自宅へ、後日上越地域の特産品のお土産が届くという楽しい演出も採り入れられている。

「新潟」という看板を背負って

「えちごトキめき鉄道は、新潟県という看板を背負って走っているのです。新潟県には、海のもの、山のもの、美味しいものがたくさんあります。おいしいお酒もたくさんあります。ただ、これまではそれをうまくPRすることができなかった。それであれば、えちごトキめき鉄道でお客様にそれを知って頂く、そういう考え方です。

『雪月花』は外から見ても恰好いい列車ですが、乗って頂ければ、さらにそのすばらしさが解る。きっと新潟が『マイ・ブーム』になります。そうすれば、お客様が自宅に帰られた後に、スーパーマーケットで新潟産の食材を見つけて『新潟のお米だから買おう』とか、『新潟のお酒だから買おう』とお考えになることがあるかもしれない。えちごトキめき鉄道には、そのような役割も課せられていると考えます」と鳥塚氏。だからこそ、新潟という看板を背負って走っているということだろう。

もちろん、料金の見直しには、その根底により多くのお金を地元に還元したいという考え方があるという。それでもリニューアルの方向性を定めた最大のものは、やはり、粗悪な商品は顧客の真の満足を得ることができないという考えによるものであるようだ。このスタイルがこれからどのように利用客に受け入れられてゆくことになるのか。人々のさまざまな想いを乗せて始まる「えちごトキめきリゾート雪月花」の新たなステージに注目したい。

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池口 英司 鉄道ライター、カメラマン

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いけぐち・えいじ / Eiji Ikeguchi

1956年東京都生まれ。日本大学藝術学部写真学科卒業後、出版社勤務を経て独立。著書に『国鉄のスピード史―スピードアップがもたらした未来への足跡』(イカロス出版)、『鉄道時計ものがたり―いつの時代も鉄道員の“相棒”』(共著、交通新聞社新書)、『JR旅客6社徹底比較』(河出書房新社)、『さらに残念な鉄道車両たち』(イカロス出版)等。

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