オリィ研究所共同創設者に聞く新たな社会参画を実現するコミュニケーションテクノロジー 持続可能な未来とDX

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テクノロジーを駆使してすべての人に「居場所」をつくる

株式会社オリィ研究所共同創設者COO 結城 明姫 2012年、オリィ研究所を設立し、分身ロボット「OriHime」を開発。2020年には官民連携プロジェクト『ジャパンSDGsアクション』において、SDGs Peopleに選ばれる。

現代社会における「孤独」は、身体的あるいは精神的な問題や、介護、子育てによる移動制限など、さまざまな理由により社会参加が妨げられることで生じます。その本質とは何か。
「人類の孤独の解消」を理念とする私たちオリィ研究所は、〝居場所や役割の喪失〞が、孤独の原因になると考えました。コミュニケーションテクノロジーを活用することで、孤独にある人の社会参加を実現する。それが、私たちが展開してきた事業です。

孤独解消の軸となるのは、2009年から開発を進めてきた分身ロボット「OriHime」。コミュニケーションのコアは相互的なリアクションであると考え、アイコンタクトやボディランゲージなど非言語情報を含めた豊かな感情表現を実装しました。リアリティある動作がオンラインの距離を解消し、操作者とコミュニケーション相手は、「その場に存在する感覚」を共有します。異なる空間にいる人が、テクノロジーにより、確かに目の前に存在できる。音声や画像を越えた意思伝達でリアルな人間関係を構築する「もう一人の自分」が、社会参画の新たなあり方を生み出したのです。

情勢変化とともに広がりを見せる分身ロボット

開発当初は分身ロボットに対する世間の理解度は低く、普及に相当な時間を要しました。転機となったのは、2019年にオープンした分身ロボットカフェ「DAWN ver.β」です。このカフェでは、外出困難者が従業員として勤務し、自宅からロボットを遠隔操作してお客様にサービスを提供するという、かつてない働き方を創出しました。次第に企業から「OriHimeの導入を検討したい」と声がかかるようになり、私たちの活動が少しずつ認知されていったと感じています。

さらに新型コロナウイルス感染症の流行が、分身ロボットの普及に加速度的な影響を与えました。コロナ禍で人とのつながりが分断され、1人時間が増加。周囲の人々とのコミュニケーションが希薄化する中で、誰もが「孤独」を自分の問題として認識するようになったのです。現在は企業との共同事業も活発化しており、さらなる事業拡大につながっています。

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