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「全国生活賃金」を導入した英国、5年後の変化 2016年に財務省が新たな最低賃金額を設定した

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有力機関による調査・研究リポートからビジネスに役立つ4つのトピックをえりすぐり、そのエッセンスを紹介。

①英国「全国生活賃金」導入の効果
最低賃金を押し上げ、地域間格差を改善

・労働政策研究・研修機構「イギリス 最低賃金引き上げの影響」(2022年8月26日)

・労働政策研究・研修機構 海外労働情報 国別労働トピック

ロンドン市内を行き交う2階建てバス
最低賃金の引き上げは、英国の社会にどのような影響をもたらしているか(写真:PIXTA)

英国は2016年4月に「全国生活賃金」を導入した。従来の法定最低賃金に上乗せ(50ペンスを加算)する形で、25歳(現在は23歳)以上の層に新たな最低賃金額を設定し、賃金水準と生産性の向上を目指した。本リポートは、導入の影響を分析した英低賃金委員会の報告書の概要を紹介する。

最低賃金は20年4月までに年平均6%上昇し、従来の制度下での年3.8%を大きく上回った。最低賃金で働く労働者のいる世帯の賃金収入増加率は、それ以外の世帯の増加率を勝った。ただし、同時期に低所得層向け給付が削減されたため、世帯所得の比較では、増加率はどちらもほぼ同じだった。

また、最低賃金層における賃金格差や、地域間の賃金格差が改善されたことも報告している。さらに、離職が間接的に抑制された可能性も指摘。最低賃金労働者は転職によって賃金水準が上がる傾向にあるが、導入以降、転職比率は低下している。全国生活賃金が、より高賃金の仕事との間の金額差を狭めたことが要因と推測できる。

一方で、生産性向上の効果の確証は得られなかった。投資が必ずしも利益につながらなかったことなどが要因と推測される。

②地方自治体が模索する婚活支援策
「おせっかいおばさん」を復活させる

・山梨総合研究所「山梨県内の結婚事情」(2022年7月28日)

・山梨総合研究所 専務理事 村田俊也

非婚・晩婚化は大きな社会問題である。山梨県の結婚事情を報告する本リポートは、自治体の婚活支援の実情などを知ることができ、興味深い。

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