今後日本に「サイバー省」が本気で必要になる理由 陸、海、空、宇宙に次ぐ「第5の戦場」をどうする

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ロシアがどのようにハイブリッド戦を行ったかといえば、目に見えないサイバー戦や情報戦、心理戦、電子戦だ。さらには、目に見えるけれども、それが国際法上、正規の軍隊が行っていることなのか、あるいはロシア系住民が組織した義勇兵が行っているのか、非常に線引きが難しいハイブリッド戦を仕掛けてきた。このように国際法上、自衛権を行使できるのかどうか非常に曖昧になるところを追求するのがハイブリッド戦の本質だ。

――企業を狙ったサイバー攻撃も増えています。日本企業がセキュリティ対策を進めるうえでの一番の課題は何でしょうか。

会社のネットワークインフラをやられたら、活動ができなくなる。しかし、コストと考えてしまえば、利益との関係を見て、「まだ一度も事故が起きていないではないか」とセキュリティ対策のコスト削減につながりかねない。

そうではなくて、事故ゼロには価値があり、企業価値をさらに高めているという認識を持つといいのではと思っている。

そうすれば、ある程度の経費がかかっても、株主などのステークホルダーにも説明ができ、維持ができるだろう。

日本での対策、課題は

非常に難しいのは、数も多い中小企業。サイバー対策にどれだけ経費をかけられるかといった財力の問題もある。なので、国全体の政策の中でネットワークインフラをいかに強くしていくか。

税制や補助金の問題、クラウド対策を含めて大きな政策を打つ必要がある。弱点のある企業がサイバー攻撃されれば、そことひもづく企業が連鎖的に被害を受ける。中小企業でも一定の水準に上げていく努力が必要だ。

――田中さんはかねて、デジタル庁とは別に、サイバーセキュリティやサイバーインフラ全体の保安やインテリジェンス機能までを含めたサイバー省の設立を訴えていますね。

情報化時代の到来やインターネットがもたらしたものを考えたときに、(社会の)水平構造化がある。そして、その水平構造の上にすべての活動が乗っかっている。これは私たちの地上で起こっている大変革だ。しかし、行政組織や一般の社会活動はどうしても古い価値やルール、自らの感性に従っている。横の連携をしたほうが速くていいのにしていない。これでは必要な作用が起こらない。

サイバーインフラをどう強くするかをもっと真剣に考えれば、労働力や経済成長などすべての面で良い作用が起きてくるはずだ。

情報空間にあるビッグデータを含めたさまざまな情報を使って国全体の情報を見ていく。冒頭に述べた実像と虚像をどう信じるかという認知や情報戦への対応も含まれてくる。

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