新型レンジローバーに乗ってわかった驚異の実力 悪路踏破性能を追求しつつ快適性や高級感も極限

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前述したアクティブノイズキャンセレーションや、直進中は左右輪の動きを許容することでしなやかな足さばきを可能にするダイナミックレスポンスプロがここでも効果を発揮しているためか、上下動にともなうゴツゴツ感は左右輪が同時にストロークした場合を除いて、ほとんど気にかかることがなかった。アルミモノコック・ボディーの強固さも貢献しているはずだ。

ディーゼル・ユニットがもたらすパワーが十分なことと腰の据わったフットワークの優秀さは記事冒頭に述べたとおりで、一般道を常識的なペースで走らせる限りまったく不足は感じなかった。むしろこれだけ高い着座位置と視点のまま、ほとんどロールすることなくワインディングロードを駆け抜けていくさまに、車高の低いスポーツカーとは異なる新しい快感を覚えたくらいだ。

竣工まもない「土管のゲストハウス」の取り付け道路は木々を縫うような未整地路で、その出入りの際に新採用の4WSシステムによる小回り性能の向上を実感したのに加えて、今回機会がなかったオフロードやスノーといった状況をいつかこのレンジローバーで経験してみたいものだと思わせた。

車両本体2000万円超を買う顧客層

新型レンジローバーの受注は世界的に好調らしく、試乗会に参加した7月末の時点において、すでにV8ガソリンの標準モデルは当面の入荷分が売り切れているそうだ。ランドローバーのホームページには「既に3年分の生産予定の受注台数に達してしまいました」とある。現在、注文できるグレードは一部に限られている。

車両本体価格は最も安価な標準グレードでも1687万円から。今回筆者が試乗した車両を含め、多くのケースで車両本体価格が2000万円を超えると思われる新型レンジローバーの想定する顧客層はどのようなものなのだろうか。

ジャガー・ランドローバー・ジャパンのマグナス・ハンソン社長は、「世帯年収や年齢層で区別したターゲットは設けていません。あえていうなら、レンジローバーの価値観に共感する各分野のリーダーの方々です」と話す。

さすが孤高の最高級車、カッコいい模範解答だ。一歩踏み込んでローンやリースの利用状況について訪ねてみよう。「日本の場合、最初の2年間は現金で買う方が多いと想定しています。ほかの国には見られない傾向なのですが、ご自分の名義にして乗ることを希望される方が多いようです」とのこと。あなたが路上で初めて出会う新型レンジローバーのオーナーは、そうとうに裕福な人である可能性が高いということだ。

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田中 誠司 PRストラテジスト、ポーリクロム代表取締役、THE EV TIMES編集長

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たなか せいじ / Seiji Tanaka

自動車雑誌『カーグラフィック』編集長、BMW Japan広報部長、UNIQLOグローバルPRマネジャー等を歴任。1975年生まれ。筑波大学基礎工学類卒業。EVニュースサイト「THE EV TIMES」編集長および、モノ文化を伝えるマルチメディア「PARCFERME」編集長を務める。

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