「炭素税導入」、企業への影響は税収の使い道次第 炭素税の「累進化」や大胆な財政政策の可能性も

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工場の煙突から出ている煙
(写真:galitskaya/PIXTA)

「政府のお金の使い方」に、近年注目が集まっている。コロナ禍での給付金などは記憶に新しいが、これに限らず、政府はいろいろな政策を通じて国民にインセンティブを与え行動変容を促そうとしている。カーボンプライシング(CP)もその1つだ。政府は2050年までのカーボンニュートラルを目指すための環境政策としてCP導入を検討している。

CPは二酸化炭素排出の費用を「炭素税」として徴収する、あるいは「排出権」を設定することで排出削減を促すものだ。ただし、それによる企業負担の増加分が商品やサービスの価格に転嫁されたり、ガソリン価格が上がったりすれば、物価上昇は加速するだろう。うまく導入しなければ、国民から嫌われる政策になりかねない。

一方、CP導入には経済へのポジティブな影響もある。政府が訴える「グリーン成長戦略」やイノベーションにつながる可能性も十分あるのだ。以下では、とくに「CPから得られる税収」とその使い道の重要さを見ていきたい。解説に当たって、カナダのブリティッシュコロンビア(BC)州で08年に導入された「税収中立型炭素税」を題材に筆者が行った研究と、関連研究を紹介する。

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