職員室のリノベーションで「働き方が変わる」学校事務職員の知られざる底力 イノベーションを起こす土壌をどうつくるか

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2018年に日枝小に来た当初、非常勤の先生が使う机やいすが不足していたため、周りに働きかけて職員室内に非常勤の先生の机といすを設置しました。非常勤の先生方が退勤した後は、教職員のフリースペースとして活用しています。

また、事務室もなく、事務用品の収納スペースが限られていたため職員室の一角に壁面収納などを設け、たくさんの事務用品を「見える化」し、より探しやすくしました。

探しやすく、取り出しやすく、補充しやすい事務用品の「見える収納」

その後、事務室のスペースを校長室の一角に配置し、事務用品の収納スペースをこちらに移動。現在の事務室には皆さんに読んでほしい資料や書籍を丸形カウンターに置いた「ライブラリー」があります。もともとは前任の校長先生が設け、事務室設置とともに今の場所に移動になりました。前任の校長先生や先生方が本を置いていってくださり、冊数が増えました。それらを見ながら教職員同士で対話ができるようにしています。

また、職員室で行っていた、いつでも誰でも必要な書類を取り出しやすいようにする「ファイリングシステム」も、すでに教員の方が取り組んでおられたので、その方に声をかけて一緒に取り組ませてもらったのですが、とても楽しかったですね。今やり続けている学校の強みに気づき、それを発展的に生かしていくためのアプローチも大切だと思います。

丸形カウンターに置いた「ライブラリー」

学校事務職員にはファシリテーション能力も必要

――学校をよくしていくために、学校事務職員ができること、求められていることとはどんなことでしょうか。

学校事務職員の役割は、学ぶ環境や働く環境の維持保全や改善などを通し、教職員や子どもたちが主体的に対話を重ねながらさまざまなイノベーションを起こすための“土壌”をつくることだと思います。

また、学校事務職員は、市区町村から配分される学校予算を有効に活用するための財務の仕事が非常に大切です。自分が正解をつくるのではなく、教育の最前線にいる先生方や用務員、栄養士、養護教諭、学校司書など学校に関わるすべての人が「学校をよくするために何が必要なのか」について考える場をつくって予算について考えたいと思い、本校では、予算委員会を少人数のグループに分かれて対話を重ねるワークショップ形式で行っています。

少ない人数だと意見を出しやすいですし、リーダー的な存在の先生の意見に偏ることもなく、皆さんの意見を結集させることができます。実りのある対話を生み出すためにはファシリテーション能力が必要であり、ファシリテーション能力こそ学校事務職員に必要な資質なのではないかと考えています。

――学校事務職員は、“事務処理をする人”ではなく“学校をつくっていく人”なのですね。

日枝小では、昨年度から「研究デザイン部」が設置されています。

「研究デザイン部」は、校内の教職員による3つの研究委員会のリーダーが集まり、それぞれの取り組みを共有しながら学校経営に生かしていく目的でつくられました。

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