JR貨物社長「貨物鉄道のメリットを訴えていく」 貨物列車を残すため、残された時間は多くない

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貨物列車を支える助成金の2031年度以降の財源が定まらない中、貨物列車は誰が守っていくのか。JR貨物の犬飼新・社長を直撃した。

犬飼新(いぬかい・しん)/1959年生まれ。東京都出身。1985年に早稲田大学教育学部卒業後、間組(現・安藤ハザマ)入社。2003年日本貨物鉄道(JR貨物)入社。2015年執行役員、2018年取締役常務執行役員、2022年6月から現職(撮影:尾形文繁)

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北海道の貨物鉄道が存廃の危機にさらされている。2031年春に北海道新幹線札幌延伸とともにJRから経営分離される並行在来線(函館-長万部)の存廃が定まらない。ここが廃線になれば、北海道の貨物鉄道は消滅の危機にさらされる。
議論がまとまらないのは、並行在来線を支える貨物調整金の財源にメドがつかないからだ。問題は北海道のみならず、全国の並行在来線に共通する。貨物鉄道は、誰がどう守るべきなのか。当事者のJR貨物はどう考えているのか。2022年6月に社長に就任したばかりの犬飼新社長に聞いた。

 

――北海道の並行在来線(函館-長万部)の存廃が定まりません。

現状では、船で北海道と本州の物流を全部代替できるという議論に対して、鉄道が必要であり、鉄道なしには北海道(の物流)は立ち行かないとする報告書などが数多く出されている。
北海道では定時・大量輸送の貨物列車の特性が発揮できる。たまねぎ、じゃがいもなどの農産品を大量に運ぶことができる。北海道と本州を結ぶわれわれの役割は大きい。

また、東北発着の鉄道利用はそれほど多くはなく、北海道までネットワークがつながって事業が成り立っている面があるので、北海道と本州間の貨物鉄道輸送がなくなってしまうと、青森から南で当社の役割が果たせなくなってしまう。ネットワークがシュリンクしていく懸念がある。

――函館-長万部を走行するのはほぼ貨物列車なので、並行在来線はJR貨物が維持管理すべきだとの声もあります。

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