「音楽の力」は、いかに政治や外交を動かすのか 政治と音楽、デジタルハンターなど書評8冊

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[Book Review 今週のラインナップ]

・『政治と音楽 国際関係を動かす“ソフトパワー”』

・『ベリングキャット デジタルハンター、国家の噓を暴く』

・『江戸で部屋さがし』

・『定年後にもう一度大学生になる 一日中学んで暮らしたい人のための「第二の人生」最高の楽しみ方』

[新書紹介 3分で4冊!サミングアップ]

・『新中国論』

・『物語 スコットランドの歴史』

・『実践・哲学ディベート』

・『脳と生きる』

『政治と音楽 国際関係を動かす“ソフトパワー”』半澤朝彦 編著(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・帝京大学教授 渡邊啓貴

文化外交は今後の日本外交の重要な分野であるが、そうしたものを研究対象とする際の難しさは、評価の検証にある。文化や芸術が政治や外交に影響を及ぼす過程がブラックボックスだからだ。

意図と効果の関係がわかりやすいのはヒトラーとワグナーのような、指導者の芸術利用だ。欧米でも文化外交の成果の数値化が試みられているが、説得力のある研究はまだない。本書は、こうした状況に挑んだ、意欲的な論考集だ。

いかに政治を動かすのか 多テーマで解明を試みる

例えば、第Ⅰ部「政治的動員と音楽」を見てみよう。

第1章はバルト諸国の「歌と踊りの祭典」を民族独立の自発的活動の歴史的所産として高く評価する。

19世紀半ばに始まった「歌の祭典」の「合唱」を通してバルト人たちは独立の精神を育み、1988年夏のエストニアにおいて、人々は白夜の中、公園で愛国的な歌を夜通し歌った。それは「歌う革命」として、平和と民主主義の回復と国家の独立への人々の期待を高めた。

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