ミクシィの現役エンジニアが指導、超進学校・渋谷教育学園渋谷の部活動が凄い 新卒研修と同レベルの「プログラミング」を学ぶ
「Unityを使ったことはあるけれど、ちゃんと教わったことはないという生徒がほとんどでした。でも、こちらの生徒さんは基礎力があり、新しい学習を論理的に考えて吸収していく力があって理解が早い。中学生向けコンテンツにしてはレベルが高いですが、できると思って厚めのテキストを用意しました」(田那辺氏)

実際、ミクシィでもゲーム開発にUnityを使うことがあるというが、今回は同社で新卒社員向けに使っている技術研修のカリキュラムを応用している。ミクシィではゲーム開発だけではなくネットワークやセキュリティー担当のエンジニアが1日7時間で学ぶ内容のため、むしろ生徒には「より深く学習できるように、少し難しくした」(田那辺氏)という。
教材として使用するのは、ミクシィが作成したアクションゲームのサンプルだ。ただ、ゲームをして遊ぶのではなく、そのゲームの生のファイルを開いて、どのようにゲームが作られているのかが分析できるようになっている。実際に生徒は、Unityに触りながら基本操作や仕組みを習得するとともに、ゲーム中の空間やオブジェクトを構築するなどの課題に取り組みながら実装方法を学んでいく。さらに、より自由にゲームが開発できるよう、Unityで使われているC#プログラミングの記述方法やソフトウェア開発設計の考え方についても学ぶ。
「興味が湧くように、ちゃんと動くゲームのサンプルを作りました。中・高生がわかるように教える技術も必要ですが、『面白そうじゃん』と感じてもらうことが何より大切です。エンジニアがゲーム開発の現場で考える最小限のことを伝えなくてはならないと思うと、時間が足らず教え切れない。でも、今日は『さすが!』という手応えを感じました。4回の講座終了後も引き続きサポートは行う予定のため、わからないところは質問してもらって最後までゲームを作り『飛龍祭』で楽しい作品を発表してほしいですね」
こうしたIT系の部活動は、企業やエンジニアがとくに支援に入りやすい部活動といえる。今回は、全4回の講座と期間限定ではあるものの、技術の進展が著しい分野ということもあり教員が指導するのはなかなか厳しい分野だ。
ミクシィは一連の活動について、講師派遣料以外のカリキュラムなどを無償で提供している。社会貢献の一環というわけだが、外部指導者を活用した柔軟な部活動の運営が、子どもたちの学校生活の充実、さらには可能性を伸ばすことにもつながる。現在、学校部活動のあり方が見直される中でも外部指導者の確保は課題の1つとなっているが、企業にできることは多そうだ。
(文:編集部 細川めぐみ、撮影:尾形文繁)
東洋経済education × ICT編集部
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