ミクシィの現役エンジニアが指導、超進学校・渋谷教育学園渋谷の部活動が凄い 新卒研修と同レベルの「プログラミング」を学ぶ

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野口浩一(のぐち・こういち)
渋谷教育学園渋谷中学高等学校 教諭

「コンピューターが本当に好きな子は、自分でどんどん勉強してゲームを作ります。質問をされれば後輩に教えたり、大会に出て活躍もしている。でも、自分だけではわからないという子は、“できる子”が部活に来ていれば質問ができるものの、部活は自由参加のため“できる子”が来ていなければ聞くこともできない。壁にぶつかって解決できないと、ゲーム作りがストップしてしまい部活に足が向かなくなってしまう」という課題を感じていたからだ。

部活動に来て、それぞれが好きなゲームを作るのではなく、部活動の中で知識や技術を身に付けることができて、またそれをしっかりと後輩に引き継ぐことのできる部活動にするにはどうすればいいか。そこで考えたのが、全員が入部後に土台づくりとしてゲーム作りの基本を学ぶということだった。

「共通の土台があれば、部員同士の交流も生まれます。基本がわかれば、あとは子どもたちなりに調べてやっていけてしまう生徒たちです。かといって、私自身が教えることはとてもできない。専門的に教えることのできる外部指導者はいないか、そうしたプロから教わることができれば生徒の意識も変わると考えました」

部活動における外部指導者の活用は、公立中学校の部活動改革でも大きな期待が寄せられている。ただでさえ忙しい教員の負担軽減はもちろん、教員自身が経験のない部活動の指導を行うのは難しいからである。実際、渋渋では10年以上前から、部活動で外部指導者を活用しているという。

「教職員が、教育的な効果や人間関係の構築という点で部活に関わるのは大切だと考える一方、技術指導という点では必ずしも先生が得意とは限りません。外部コーチや卒業生に支援してもらうなど、今では約半分の部活で外部人材に協力いただいています」

こう話すのは、校長の高際伊都子氏だ。高際氏は、野口氏からコンピューター部の相談を受けて、すぐに渋谷区と連絡を取ったという。渋谷区は企業と連携して、区立中学校の部活動改革を進めていたからだ。そこで区内の公立中学校のプログラミング授業に加えて、区立中学校の合同部活動「デジタルクリエイティブ&eスポーツ部」に協力していたミクシィに声がかかったというわけである。

新卒社員向け技術研修のカリキュラムを応用

ミクシィは2019年から、将来のIT人材を創出することを目的に、渋谷区立中学校に対してプログラミングの学習支援を行っている。私立向けでは、同じく渋谷区にある実践女子学園中学校高等学校で、教員向けにプログラミング研修を実施した実績もあるという。

一連の取り組みで教材の開発や講師を担当するミクシィ 開発本部 CTO室の田那辺輝氏は、「プログラミングを教えることを通して、コンピューターを抵抗なく使えるよう、基本的な知識を育んでもらうとともにIT業界に対する理解を深めてもらいたい」と話す。

田那辺 輝(たなべ・あきら)
ミクシィ 開発本部 CTO室

渋渋では事前に顧問である野口氏と生徒たちの要望を聞き、Unityを使う体験を中心に、Unityができるようになったら、プログラミングに入っていくという内容にした。

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