教員不足「さほど深刻ではない、もっと教員を減らすべき」の大いなる盲点 少子化の一方で急増する特別支援学級と仕事量

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昨年、初めて文部科学省が実態を調査した教員不足の問題が、再び話題となっている。当初から、「全国の公立学校1897校で、2558人もの教員が不足している」(2021年4月1日時点)という調査結果に対して、「もっと不足しているはず」「実感とはかけ離れた数字」と声を上げる教員が多くいたが、不足数が今年度に入っていっそう深刻になっている可能性があるという。特別支援学級の増加など、さまざまな背景、要因があると話す教育研究家の妹尾昌俊氏に聞いた。
・この4月から担任が足りず、私が教務主任と2年生の学級担任を兼務しています。始業式の日に、保護者には「講師の配置が遅れており、当面の間は教務主任が担任を兼務します」旨のお手紙を配付しました。(関東地方、公立小学校)
・今年度は本来常勤の教諭がつくべきところが2人見つかりません。1人は児童8人の特別支援学級の副担任。もう1人は高学年教科担任制加配です。(中国地方、公立小学校)
・高校の情報の講師が見つからず、いまだ授業の見通しが立ちません。(関東地方、公立高校)
・本校も今年度マイナス1のままスタートしております。講師分ですが、市全体で十数人不足していて取り合っている状態です。(中部地方、公立小学校)

これらは先月、私の知人の学校の先生たちから寄せられた情報の一部だ。

昨年、初めて文部科学省が実態調査した教員不足の問題だが、今年度に入って、いっそう深刻化している可能性がある。新聞報道によると、昨年度の文科省調査では不足がゼロだった東京都でさえ、この4月に小学校で約50人の欠員が発生している。沖縄県ではこの4月、小中学校で学級担任が28人不足している。私が公立小中学校の副校長・教頭に実施している調査でも、この4月に不足しているという声は続々と寄せられている。

妹尾昌俊(せのお・まさとし)
教育研究家、合同会社ライフ&ワーク代表
徳島県出身。野村総合研究所を経て、2016年に独立。全国各地の教育現場を訪れて講演、研修、コンサルティングなどを手がけている。学校業務改善アドバイザー(文部科学省委嘱のほか、埼玉県、横浜市、高知県等)、中央教育審議会「学校における働き方改革特別部会」委員、スポーツ庁、文化庁において、部活動のあり方に関するガイドラインをつくる有識者会議の委員も務めた。Yahoo!ニュースオーサー、教育新聞特任解説委員、NPOまちと学校のみらい理事。主な著書に『教師と学校の失敗学 なぜ変化に対応できないのか』(PHP新書)、『教師崩壊』(PHP新書)、『こうすれば、学校は変わる! 「忙しいのは当たり前」への挑戦』(教育開発研究所)、『学校をおもしろくする思考法 卓越した企業の失敗と成功に学ぶ』『変わる学校、変わらない学校』(ともに学事出版)など多数。5人の子育て中
(写真は本人提供)

教員不足の問題、不利益は子どもたちに

この問題、いちばんの被害者は子どもたちだ。

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