日野トラック不正、出荷停止に忍び寄る顧客離れ 2期連続の最終赤字、調達に悩む物流企業も
エンジンの検査不正に揺れる日野自動車。2022年3月期は847億円の最終赤字だった。問題のトラックの出荷再開は見通せず、顧客企業からは悲鳴が上がる。
「過去に例のない行政処分をいただいた。重く受け止めて再発防止の徹底に取り組む」
4月27日、日野の決算説明会は小木曽聡社長の謝罪から始まった。それもそのはず、2022年3月期決算の内容は散々なものになったからだ。半導体などの部材調達難があったものの、東南アジアへの拡販が進み営業利益は前年同期比176%増の338億円になった。ところが、不正に対する顧客への補償金を特別損失に計上したことで847億円の純損失に沈んだ。
2期連続の最終赤字だ。営業利益は販売費用などの固定費削減を進めて大幅に伸ばしたものの、それでも品質改善費用がかさんで期中の見込みほどは稼げなかった。
特別損失に計上した認証関連の補償費用は大きい。2021年9月末まで北米の工場を停止させていたことによるディーラー等への補償を2022年3月期に270億円計上。それに加え、今回の不正行為での中型トラックリコールによる国内認証関連損失として400億円を計上した。
型式指定の取り消されたエンジンの再度の認証取得と出荷再開が見通せないことから、2023年3月期の業績予想も出せなかった。国内市場向け約6万台のうち、35%にあたる年間約2.2万台が出荷停止になったことで業績への影響は避けられない。小木曽社長は「型式指定の取り消しは前例がない。きっちりと再発防止をともなった再度の申請をする。型式指定の再取得への動きはまだ確定していない」と苦渋の表情を浮かべた。
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