原油高や、主力医薬品の特許切れ影響などさまざまな懸念要素を抱える帝人。4月に就任した内川新社長はどう受け止めているのか。
――21年度から続く原油高のほかに、20年ぶりの円安水準、半導体など部材不足の影響の長期化、物流費高騰、北米の人手不足や労務費高騰などさまざまな懸念要素があります。どのような手を打っていきますか。
外部環境は、私たちでは何も変えることができない。だから、自分たちでできることに集中しようと考えている。外部環境で(物価が上がる方向に)振れた部分は、サプライヤーに(卸値を上げすぎないように)我慢していただく。それからお客様への販売では価格への転嫁をご理解いただく。とにかく、これはもうお願いするしかない。
その一方で、コストの改善に関しては自分たちでできることには取り組んでいく。例えば生産性の向上。こちらはある程度、自助努力でコントロールできるところなので、そこは喫緊にしている。
――生産性の向上でいえば、注力する自動車向け複合成形材料の事業では、北米のテキサスの新工場に自動化プレス機を導入したほか、既存工場の自動化も進めてきました。
もともと(北米最大の自動車向け複合成形材料メーカーであった)コンチネンタル・ストラクチュラル・プラスチックス社を2017年に買収したときに、当社がエンジニアリングを支援し、自動化することで大きく生産性を改善できると見ていた。
2021年度末には、大きな部分での大体の工事は終わっている。北米のほうは大きなプログラム、大きな工場の主要プロセスはすべて完全自動化できたので、非常に効率化できている。今年度は自動化やほかのコストダウン手段を含めて、いよいよ成果を出さなければいけない年になる。
――2021年度、複合成形材料は原油高によるコストプッシュも響き、当初の想定よりだいぶ苦戦したと思います。そうした一過性の要素以外を除いた事業成長の評価は。
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