教育専門家が選ぶ「子どもの教育」のいろいろな悩みを解決してくれる11冊 GWに読みたい!ほめ方・叱り方から勉強法まで
そんな西岡さんがお薦めするのは、『チ。ー地球の運動についてー』(作・画:魚 豊/小学館)だ。学ぶ楽しさを教えてくれる漫画だという。
「『人間が学ぶということはどういうことか』がわかる漫画です。地動説という『ばかげた空想』『異端思想』を、どうして先人たちは研究したのか?研究したいと思ってしまったのか?そしてそれに運命を翻弄され、命を懸ける人たちがいた。この漫画を読めば、その楽しさがわかるようになります!」
本書の舞台は15世紀のヨーロッパ。合理性を重んじる主人公のラファウが、異端の元学者フベルトと出会い地動説を信じるようになる。「異端思想」が火あぶりに処せられていた時代に、地動説を命懸けで研究する人たちの生きざまを描いたフィクションだ。漫画なので大人だけでなく、子どもに読ませてみるのもいいかもしれない。
10. 『もう「反抗期」で悩まない!』(著:沼田晶弘)

東京大学名誉教授、北鎌倉女子学園学園長
(写真:柳沢氏提供)
小学生までは素直で、子どもの教育も順調だったけど……反抗期に入って難しくなってきたという保護者の方もおられるのではないだろうか。
何を言っても反抗的な言葉が返ってくる、何を聞いても「別に」しか返ってこない、口数が圧倒的に減って何を考えているのかわからないなど、昭和に比べると反抗期もマイルドだといわれる世代だが、どの子にもそれなりの反抗期があるものだ。
東京大学名誉教授で、北鎌倉女子学園学園長の柳沢幸雄氏は、東大、米ハーバード大学で教授を務めた後、開成中学校・高等学校の校長を務めていたことでも知られる。
大学、大学院、中学校、高等学校と、いろいろな年代の若者の学校教育に深く関わってきた柳沢氏が推薦するのは、『もう「反抗期」で悩まない!親も子どももラクになる“ぬまっち流”思考法』(著:沼田晶弘/集英社)だ。選書理由について、こう話す。
「反抗期というネガティブな語感を持つ時期が、実は大人として自立するための自己主張の初歩的なトレーニングの開始時期だということをわかりやく述べています」
子どもが自己主張ができるようになったことを「成長」と捉えて、親が反抗期を受け入れることが、わが子を伸ばすことにもつながるという。著者は東京学芸大学附属世田谷小学校の教諭であり、子どもの自主性を引き出す授業で定評のある沼田晶弘氏だ。実際の保護者から寄せられた相談など、豊富な事例が掲載されており、子どもの年齢を問わず応用可能な「親側のマインドセット」について説かれている。
11. 『どこでも誰とでも働ける』(著:尾原和啓)

ICF認定ライフコーチ、Shigeko Bork BYBS Coaching LLC代表
この「親側のマインドセット」は、時代の流れから考えても変える必要があるだろう。テクノロジーの進化と長寿化の進展などで人生設計の骨組みが大きく変わりつつあるからだ。
これまでは、いい大学に入っていい会社に入れば一生安泰ともいわれた。だが、グローバル化の進展で競争が激化する中、何十年もプレーヤーが変わらない業界は珍しく、新卒で入った会社が10年後もあるという保証はどこにもない。10年前にはなかった職業が次々と出てくるような時代に信頼ができるのは、いい大学でもいい会社でもなく自分自身だ。
世界で通用する子育てについて発信を続けるボーク重子氏は、これまで非認知能力を育成する重要さを繰り返し説いてきた。非認知能力とは、IQやテスト、偏差値のような数値化できる認知能力ではなく、従来の学力とは異なる数値化できない個人の特性による能力のことを指す。問題解決能力、計画性、柔軟性、心の回復力、自制心、やり抜く力、社会性、共感力などだ。
そんなボーク重子氏が薦めるのは、『どこでも誰とでも働ける――12の会社で学んだ“これから”の仕事と転職のルール』(著:尾原和啓/ダイヤモンド社)だ。
「変化の激しい人生100年時代の働き方は、これまでのトップダウンではなく『対等につながり共有する』ことが基本になっていきます。そんな社会では『どこで働いているか』『役職は何か』ではなく、『自分は誰で、何ができて、何のために生きているか』をしっかりと持ったプロフェッショナルであることが必須です。変化を乗りこなす大人に育てるために、まずは親がそんな働き方を体現して子どもを導いていくためのヒントが詰まった本です」
本書は、あらゆるチーム、どんな職場でも使える、自由に生きるための超実践的な仕事術をまとめている。実際、Google、マッキンゼー、リクルート、楽天など12回の転職を重ねてきた著者の経験のすべてが詰め込まれているという。親の価値観が変わらなければ、子どもの教育も変わらないということ。ぜひ手に取ってみてはいかがだろうか。
(注記のない写真:尾形文繁)
東洋経済education × ICT編集部
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