教育専門家が選ぶ「子どもの教育」のいろいろな悩みを解決してくれる11冊 GWに読みたい!ほめ方・叱り方から勉強法まで
「アメリカでは高校生が学ぶというぐらいなので、お金の初学者に向けた、具体的で日常に根付いたお金の話が展開されます。最初の2章を使って『お金が自分の描きたい人生を実現する手段』であること、そして『キャリア設計とお金の基本』を話してくれることが好印象です。『投資で稼ぐ』というような一足飛びの知識ではなく、本質的な話です。また、冒頭にある、お金本の有名著者、橘玲さんの推薦文は必見であり、勇気が湧いてきます」
累計15万部のベストセラーで、貯金や株をはじめ「破産とはどんなシステムか?」「金融詐欺にだまされないためにどうすべきか?」「老後資産にはいくら必要か?」など、生涯を通じてお金とどう付き合うべきかを体系的に学べるようになっている。まさに人生に役立つ、親子で読める本といえそうだ。
7. 『学校のデジタル化は何のため?』(著:為田裕行)

聖徳学園中学・高等学校学校改革本部長
(撮影:ヒダキトモコ)
金融教育に限らず、英語やプログラミング、情報など、20年に小学校から順次実施されている新学習指導要領では、さまざまな新しい教育が始まっている。
そんな中、21年にはGIGAスクール構想に伴って小・中学校に「1人1台端末」が整備された。活用の度合いは自治体間、学校間で差があるものの学びの風景をまさに一変させたといえる。
日本はPISA(国際学習到達度調査)2018で「学校におけるデジタル機器の使用状況」がOECD加盟国中最下位という結果だった。GIGAスクール構想によって、ひとまず環境は整ったわけだが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で前倒しとなり一気に整備されたことから、「本当に必要なのか」「何となく不安だ」という声が保護者から聞こえてくる。
そんな保護者のために、早くからICTの活用による教育改革に注力してきた聖徳学園中学・高等学校の品田健氏は、『学校のデジタル化は何のため? 教育ICT利活用の目的9類型』(著:為田裕行/さくら社)を推薦する。
「突然、子どもにタブレットやラップトップが渡されることになって驚いたり不安に思っている保護者の方も少なくないと思います。社会に出ればICT機器が必要なのも理解しているけれども、学校生活に本当に必要なのだろうか?と疑問に思うこともあるでしょう。そもそも何に使うのだろうか?なぜ使うのだろうか?そんな疑問に答えてくれる1冊です。持ち帰った端末をご家庭でどう扱えばいいのかを考えるヒントにもなるはずです」
そもそも「端末を授業で使うこと」は目的ではなく、あくまで手段だ。だが、本書では、一度立ち止まって「何のためにICTを授業で使うのか」という目的が明確でなければ、ICTの活用が成功しているのか、失敗しているのかわからないとし、その目的について丁寧にひもといてくれている。学校のデジタル化について、不安や懸念がある保護者はもちろん、ちゃんと理解しておきたい!という人にお薦めだ。
8. 『世界トップティーチャーが教える子どもの未来が変わる英語の教科書』(著:正頭英和)

YouTuber
(写真:葉一氏提供)
学校教育のデジタル化しかりだが、親はこれまで自分たちが受けていた教育を、そのまま子どもたちに与えていては通用しなくなる時代になりつつある。グローバル化のさらなる進展やAI時代の到来など、子どもたちが将来生きる社会が、親の生きてきた時代とはまったく異なるからだ。
YouTubeなどの動画やアプリを使って勉強をする、といったことも過去には考えられなかったことだろう。教育系のYouTubeで圧倒的な人気を誇る葉一氏は、「とある男が授業をしてみた」で小・中・高校生を対象にした2000本以上の授業動画を配信する。すべて無料で視聴でき、この動画とともに高校受験、大学受験を目指す子どもたちも多くいる。
自習室なども主催して、子どもたちの挑戦に寄り添う葉一氏が、保護者向けにお薦めするのが『世界トップティーチャーが教える子どもの未来が変わる英語の教科書』(著:正頭英和/講談社)だ。
「『教育界のノーベル賞』ともいわれているグローバルティーチャー賞で、トップ10に入った正頭先生の著書です。タイトルだけ見ると英語学習に特化しているように感じますが、内容は家庭学習や親としてできることを考えるヒントがちりばめられています。
『自ら勉強するようになってほしい』と願う親御さんは多いかと思いますが、そのためには普段からどういった言葉を子どもにかけ、どういった経験を子どもと一緒にしていくかが大切です。そんな新しい視点との出合いがあるのがこの本です」
自分たちが生きた社会とはまったく異なる未来を生き抜く子どもを育てるために、大人たちはどう意識をアップデートすべきなのかを教えてくれる1冊だ。
9.『 チ。ー地球の運動についてー』(作・画:魚 豊)

作家、現役東大生
「自ら勉強するようになってほしい」は、すべての親に共通する願いといっても過言ではないだろう。
現役東大生作家の西岡壱誠さんは、偏差値35から2浪の末、東大合格をつかんだ。その逆転合格を実現した独自の勉強法をまとめた著書は、シリーズ累計38万部のベストセラーにもなっている。意外にも西岡さんは人一倍、「この勉強、意味あるの?」と勉強から逃げ続けてきた子どもだったという。
これを読んでいる保護者の方も、「この勉強、意味あるの?」と子どもに一度は聞かれた経験がおありだろう。すべての教科、単元で明確な説明ができるかと言われれば、難しいものもあるので困ったこともあるだろうが、それでも「こんなふうに役立つよ」という話をしてきたのではないか。