日経平均は5月に向け再上昇の可能性が出てきた 「3つのリスク」があっても相場は意外に堅調?

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さて、今週はどんな材料があるか。まず18日の材料では、午前11時に中国の経済指標がどっと出る。3月の鉱工業生産については、1~2月分が前年同期比7.5%増と2021年6月以来の高い伸びだったこともあり、今回はさすがにスローダウンすると思われる。

また、3月の小売売上高もあまり期待できない。1~2月は前年同期比6.7%増と予想を大きく上回り、やはり2021年6月以来の高い伸びを示していた。だが、春節連休に消費需要が高まった2月に比べると、3月は上海のロックダウンなどの影響でどれだけ落ち込んだのか不透明だ。

同国の1~3月期GDP(国内総生産)はどう出るか。2021年10~12月については前年同期比4.0%増と、2021年7~9月の4.9%増から減速し、2020年4~6月(3.1%)以来の低さとなった。日本株に影響を及ぼす可能性があるので、注意が必要だ。

需給は好転、あとは日米の決算を見極め

実は18日はアメリカの納税期限だ。昨年1年間の所得に対して、納税は2022年2月中旬から4月中旬の間にインターネットで申告し、納税も同様に済ますというのがアメリカでは一般的だ。

だが、周知のとおり、ジョー・バイデン大統領の2023年度予算教書には富裕層のキャピタルゲイン増税案が盛り込まれていた。もし、富裕層が増税前の益出し売りをしていたとしたら、18日をもって納税期限が過ぎることになり、関連する売りもひとまず峠を越えることになりそうだ。

富裕層がこれまでどれだけ売って、どれだけ相場に影響していたかは定かでない。だが、ざっくり考えても、需給が好転することは間違いないと思われる。その意味で、18日はこれらのマーケットの材料がぶつかる興味深い1日となりそうだ。

さらに今週は、IMF(国際通貨基金)の最新の世界経済見通しが出る。また、20日にはG20財務大臣・中央銀行総裁会議もある。主な企業決算も、バンク・オブ・アメリカ、IBM、ネットフリックス、テスラ、P&G、AT&Tなど、そうそうたるアメリカのメンバーに交じって、日本では21日に日本電産の決算発表がある。

役者はそろった。5月相場を決める1週間を期待して楽しみたい。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

平野 憲一 ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト

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ひらの けんいち

日本証券アナリスト協会検定会員。株一筋約45年。歴史を今に生かすことのできる「貴重なストラテジスト」として、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌への出演や寄稿記事多数。的確な予想で知られ、個人投資家の間には熱烈な「平野ファン」がいることでも有名。1970年に立花証券入社以来、個人営業、法人営業、株ディーラーを経て、2000年情報企画部長マーケットアナリストとして、投資家や各メディアに対してマーケット情報発信をスタート。2006年執行役員、2012年顧問就任。2014年に個人事務所ケイ・アセット代表。独立後も、丁寧でわかりやすい解説を目指す。

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