日経平均は5月に向け再上昇の可能性が出てきた 「3つのリスク」があっても相場は意外に堅調?

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また、日本の3月マネーストックM3(現金、銀行などの預金)の月中平均残高が前年同月比3.1%増の1536兆2000億円と、過去最高を更新した。

こうしたことが重なり、日経平均は13日に前日比508円高、14日も同328円高の連続反発となり、ようやく、3月9日に続いて二番底をつけたと思える展開になった。二番底確認となれば、2万5000円割れの一番底、2万6300円台の二番底と、下値切り上げの形のよい反転型になる。

よい流れが継続するには?

もちろん、そのためには3月25日の高値2万8149円を抜いて初めて、二番底が成立するといえるわけだ。15日現在の日経平均は2万7093円なので、その高値までは約1000円程度であり、さほど難しいことではない。

強気の思惑が台頭したのか、先週末15日の日経平均は、アメリカのナスダック市場の下落を受け、朝方は前日比387円安まであった。だが、10時過ぎには一時プラス圏に浮上した。

結局のところ、引けは同78円安の2万7093円だったが、25日移動平均線をわずかながら上回った。この日はアメリカ市場が休場ということで閑散・低調な相場だったとはいえ、25日移動平均のレベルを維持したことで投資家に好印象を与えた。しかも19日には、この25日移動平均線と75日移動平均線がゴールデンクロスを形成し、チャートの形は一気によくなるのだ。

さて、このあとの5月の株高を支援するのは、やはり企業業績だ。当初、日本企業については「2022年度も2桁増益」とかなり期待されていたが、最近のウクライナ情勢からくる資材高や中国の低迷で、1桁台後半(5%~10%)に下がったといわれる。

仮に、日経平均の最新の予想EPS(1株当たり純利益)である約2080円(11~15日の平均値)にそのまま5%~10%増の「ゾーン」を当てはめて計算すると、増益後の日経平均予想EPSは2184円(5%)~2288円(10%)となる。

同じく、先週1週間の予想PER(株価収益率)の平均値約12.9倍をかけて計算してみると、日経平均は2万8174~2万9515円程度となり、決算発表後の5月相場は十分高値を取れる態勢だ。

日本市場に大きな影響を与えるアメリカの情勢はどうか。休場だったアメリカの週末15日に出た4月のNY連銀製造業景況指数は24.6だった。これは3月の−11.8を大きく上回った。また3月鉱工業生産も前月比+0.9%と、3カ月連続の上昇だった。設備稼働率も78.3%と、2月の77.7%を上回り、実に3年ぶりの高水準だ。

こうした高い数値は金融引き締め強化につながる可能性はあるものの、18日以降佳境に入るアメリカ企業の決算は今のところ悪くない。

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