地震・豪雨災害後に重要、鉄道「迂回ルート」の役割 在来線のネットワークはいざという時必要だ

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東北新幹線の不通に伴う臨時快速に使われているE653系電車(写真: 時の記録者/PIXTA)

3月16日夜に発生した福島県沖を震源とする地震で脱線や施設の損傷などの被害を受けた東北新幹線は、4月2日に郡山―福島間、4日に仙台―一ノ関間で運転を再開し、東京―福島間、仙台―新函館北斗間がつながった。また、JR東日本は5日、残る不通区間の福島―仙台間について14日に運転を再開すると発表した。

東北新幹線の不通に伴い、代替ルートとなる路線には臨時列車が走っている。東北本線の福島―仙台間や、東京―秋田間を結ぶルートとして羽越本線の特急「いなほ」が酒田―秋田間を臨時快速として延長運転し、上越新幹線と乗り継ぎできるようになっている。また、常磐線の特急「ひたち」は一部をいわき・原ノ町―仙台間で臨時快速として運転し、東京と仙台を直通するルートとなっている。

常磐線が東京―仙台直結ルートに

今回の地震では東北新幹線に大きな被害が生じたが、在来線の東北本線は3月18日に復旧。21日に橋梁の損傷が見つかったことから再び運転を見合わせたが、翌日午後には再開した。また、常磐線も24日に全線運転再開したため、東京―仙台間を直通する迂回ルートも確保することができた。

航空やバスによる代替輸送が力を発揮しているのはもちろんだが、鉄道はそのネットワークを生かして迂回ルートをすばやく設定し、都市間輸送の需要に応えている。とくに、常磐線が東北新幹線の迂回ルートとして機能しているのは大きいだろう。

常磐線は東日本大震災と福島第一原発事故により長期の運休を余儀なくされたものの、2020年3月14日に全線が復旧した。その際に、特急「ひたち」は品川―仙台間を直通する列車が設定された。日ごろ乗り通す人は決して多くないだろうが、今回の地震では常磐線が東京―仙台間の代替ルートとしての役割を果たしている。

迂回ルートの重要性について、過去の災害事例から考えてみよう。

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