称賛、焦り、反省。日系メーカーが抱くテスラへの思いには、本音と建前が入り混じる。
100万台メーカーにのし上がろうとするEV(電気自動車)専業メーカーのテスラ。その成長ぶりに、自動車業界のテスラを見る目は確実に変わりつつある。テスラの時価総額は100兆円を超えており、日本の乗用車メーカーはトヨタが35兆円で、7社を合計しても約50兆円しかない。
では、日系メーカーはテスラの躍進をどう受け止めているのか。
1月26日のテスラの決算発表後、日本の自動車メーカーの決算会見で同じ質問を投げかけてみた。
「ありえないスピード感」
大手の中で日産自動車はいち早くEV投資に注力してきた。アシュワニ・グプタCOO(最高執行責任者)は「EV市場は認知度不足で最近までなかなか成長しなかったが、テスラの参入でその認知度が大幅に向上した。当社の(EV販売の)助けにもなっている」と、テスラの躍進を称えた。
グプタCOOの会見を見ていたという日産幹部は「EVの認知度を上げたと評価していたが、われわれが注目すべきはテスラのビジネスモデルだ」と指摘する。
その日産幹部は「テスラは『EVは儲からない』という既成概念を覆した。部品の調達手法やシンプルな車両設計など、コストダウンの取り組みをしっかり見ていくべきだ。最初は高価格帯から入り、その後にボリュームゾーンに落としていくという売り方も1つの見本になる」と、謙虚に受け止めていた。
一方、悔しさをにじませたメーカーもある。
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