丸紅「米穀物大手」買収の教訓 積年の課題を解決

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巨額買収から10年近くを経て売却。規模より利益を追求する姿勢が鮮明化。

ガビロンが保有する、穀物を集荷して貯蔵する設備。丸紅は穀物取扱量の増加を目指していた(写真:丸紅)

大手総合商社の丸紅が積年の課題にようやく答えを出した。

2013年に約2700億円で買収した米穀物大手のガビロンを、2022年度中にオランダの大手穀物事業者バイテラに売却することを発表した。丸紅はこの取引で、ガビロンに融資している運転資金などを含め、最大4000億円程度の資金回収を見込んでいる。

1月26日の会見で丸紅の寺川彰副社長はガビロンについて「買収金額が高かったのは反省点。経営していく中で事業環境の大きな変化があった」と説明した。買収当時、世界的な人口増加による消費量拡大と生産地での不作から、穀物市況の高騰に拍車がかかっていた。このとき、穀物の年間取扱量は2500万トンと総合商社の中でトップ。ガビロンを手中に収めれば、取扱量は5500万トンを超えて拡大し、穀物メジャーに肩を並べられる。中国向けの販路拡大で利益の拡大余地もあると踏んで、同社としては最大案件となる買収に踏み切った。

だが、事はそううまくは運ばなかった。

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