首都高の地下化に伴い、日本橋周辺で計画されている1兆円の再開発プロジェクト。「水都東京」復活ののろしとなるのか。
2021年5月、江戸橋・呉服橋の首都高速道路出入口が、地下化の準備作業のためにひっそりと閉鎖された。今から18年後の2040年、高速道路の高架下を流れる日本橋川は、空を取り戻すことになる。
日本橋周辺では、首都高速の地下化に呼応して5つの地区で大規模再開発が計画されている。総額は1兆円規模。その先陣を切り、2021年12月には三井不動産などが参画する再開発組合が日本橋一丁目中地区の再開発に着手した。
同社の七尾克久日本橋街づくり推進部長は「街の環境、施設が大きく変貌していく大きな一歩を踏み出した」と話す。
欧州発で高まる水辺開発の機運
浮世絵師・歌川広重の名所江戸百景に描かれているように、江戸時代、東京の水辺には人が集い、川には無数の木船が行き交っていた。いまでは川に背を向けたビルがびっしりと建ち並び、曲がりくねった首都高速道路が空にフタをしている。
明治以降、道路網が発達し、川への関心が薄れていく中、大雨のたびに都市水害を発生させ、ドブ川のように悪臭を放っていた川に誰も目を向けなくなった。1964年の東京オリンピックの際には、用地買収の手間を省いて手っ取り早くあちこちの川の上に高速道路が建設された。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
登録は簡単3ステップ
東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
おすすめ情報をメルマガでお届け
無料会員登録はこちら
ログインはこちら