東京めぐる「舟運観光」が行き詰まり招いた難題 船着場の使い勝手や新規参入者へ残る障害

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日本橋をはじめとして都内各地で運営されている舟運観光事業。コロナ禍もあって伸び悩んでいる。何がネックなのか。

屋形船は東京が世界に誇る文化だが、複雑な利権構造が残っている(記者撮影)

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「このところ満席になる便はほとんどない」

東京・中央区の日本橋三越本店に近い日本橋。その付近にある日本橋船着場で、お座敷船を操船する船長はこうぼやく。

同船着場には、12人乗りのお座敷船や40人程度を乗せることができる屋根なし中型船などが毎日数便発着している。時には大勢の観光客がクルーズ船に乗り込む様子も見られるが、とくに最近の平日の乗客はまばらだ。

日本橋の船着場。平日の乗船客はまばらだ(記者撮影)

人気映画で「舟運ブーム」に

中央区が設置した日本橋船着場は2011年、歌舞伎役者の坂田藤十郎や市川團十郎を招いて乗り込み式を開き、華々しくスタートした。映画化もされた東野圭吾の推理小説『祈りの幕が下りる時』では日本橋川にかかる橋が繰り返し登場。日本橋川をめぐる観光ブームが起こり、神田川、湾岸エリアにかけて1500~3500円程度で周遊することのできる航路には舟運業者の参入が相次いだ。

東京都公園協会が運営する水上バス事業「東京水辺ライン」も、2011年9月から70人乗りの「カワセミ」を就航。日本橋船着場を発着し、日本橋川と神田川をめぐるコースの運航が始まった。日本橋船着場の利用事業者は順調に増え、船の発着回数は2015年度に8192回と、2011年度の3倍近くに達した。

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