カザフスタンは、ナザルバエフ前大統領が現在も隠然たる影響力を持ち、中央アジアの中でトルクメニスタンと並んで政情が最も安定している国とみられていた。ただしトルクメニスタンは、ニヤゾフ前大統領、ベルディムハメドフ現大統領に対する個人崇拝が励行されるとともに外国に対して扉を閉ざす北朝鮮型の国家だ。トルクメニスタンは潤沢な天然ガス資源があるため経済的には恵まれた状態にある。国民の生活水準も低くない。
カザフスタンは権威主義的政治体制ではあるが議会も司法もそれなりに機能している。外交的には親米を基調としながらもロシアを中心とする集団安全保障条約機構であるCSTOに加盟する。中国とも良好な関係を維持している。
ソ連時代にカザフスタンは中央アジアに含まれなかった。中央アジアとは、現在のウズベキスタン、トルクメニスタン、キルギス、タジキスタンの4つの共和国を指した。カザフスタンは4共和国を合わせたくらいの政治的、経済的影響力を持っていた。
ロシア語ではカザフスタンを含む中央アジアを「ツェントラーリナヤ・アジヤ」(英語のCentral Asia)、含まない中央アジアを「スレドニャヤ・アジヤ」(英語のMiddle Asia)として区別する。ソ連時代、カザフ人のソビエト化が進みカザフ語ではなくロシア語を常用するカザフ人も少なくなかった。1991年12月のソ連崩壊は、ナザルバエフ大統領が独立国家共同体(CIS)の創設に賛成したことが決定的な要因になった。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら