ロシア・ウクライナ関係が緊迫の度を増している。2021年12月21日、ロシアのプーチン大統領がウクライナ、米国、NATO(北大西洋条約機構)に対して、事実上の最後通牒(つうちょう)を発した。〈ロシアのプーチン大統領は21日、ウクライナ国境周辺からロシア軍を撤退させるよう求める米国や北大西洋条約機構(NATO)に対し「緊張の原因は彼らにある」と述べ、緊張緩和の条件としてロシアの安全を保証する条約を要求する姿勢を鮮明にした。NATOの拡大停止など一方的な案を突きつけ、強硬姿勢を強めている。/プーチン氏はこの日、今年の軍の活動を総括する国防省の会合で演説した。ウクライナ国境周辺の軍備増強には触れず、「米国とNATOがロシア国境付近に軍を展開して演習を繰り返し、深刻な懸念を生んでいる」と主張。「緊張が高まるたびロシアは対応せざるを得ず、状況は悪化する一方だ」と述べた。/(中略)米ロ首脳協議では、緊張緩和を求めるバイデン米大統領に対し、プーチン氏が自国の安全について「信頼できる法的な保証」を要求。21日の演説では「バイデン氏が具体的な合意に向けて交渉を行うことを提案した」とも述べた。〉(21年12月22日「朝日新聞デジタル」)
プーチン大統領もバイデン大統領に突きつけた要求が受け入れられるとは思っていない。1997年以降にNATOが東欧に配備した軍や兵器を撤収せよなどの極端な要求をしたのは、ウクライナのゼレンスキー大統領の動きを牽制するためだ。ウクライナ東部のルハンスク州(ロシア語ではルガンスク州)、ドネツク州の現状を認めれば事態は沈静化する。現在、ルハンスク州の約半分、ドネツク州の3分の1(筆者はこれまでルハンスク州の3分の1、ドネツク州の約半分としていたが訂正する)が親ロ派武装勢力によって実効支配されている。この状況をウクライナが武力で変更しようとするならば戦争も辞さないと、プーチン大統領は腹をくくっている。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら