昨年末にロシア政府部内の2021年のロシア情勢の回顧と展望に関する報告書がモスクワから届いた。情報源はクレムリン(ロシア大統領府)筋だ。興味深い箇所を抜粋して紹介する。
まず内政面でプーチン大統領は成功したとの見方がこの文書には記されている。〈ロシア国家院(下院)選挙は思惑通りに進み、与党・統一ロシアは絶対過半数を確保、野党がどれだけ反対しても思うがままに法案を通過させられるようになった。〉
〈第2に、12月初め、ロシア国家院は新法を通過させ、これによって国家権力体制の“統一”が成立した。つまり、地方知事ポストが“地方の長”と名前を変え、任期の制限がなくなり(これまでは最大2期まで)、“長”を解任できるのは大統領のみで、市民は弾劾する権利を奪われた。〉
とくにロシア国内からプーチン以外に大統領という役職が消えたことをこの文書は高く評価している(昨年まではタタールスタンにのみ国内大統領が存在した)。
反政権運動も無視できる規模のものにすぎない。〈特筆されるのは、21年、ほぼすべての反プーチン勢力は壊滅させられたことだ。まず(野党指導者の)アレクセイ・ナワリヌイの逮捕から始まり、100以上の団体と個人が“外国のエージェント”と指定され、その活動が制限された。反対意見の発表の土俵を提供するノーバヤ・ガゼータ紙の編集長ドミトリー・ムラトフにノーベル平和賞が与えられたが、状況は何も変わらない。21年はプーチンの24年の再選を実現するための強固な基盤作りが完成した。現在のシステムは強固で安定しており、これを揺るがす要因は見つからない。〉24年のプーチン大統領の再選はクレムリンの既定路線のようだ。
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