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「工具界のアマゾン」トップが明かす快進撃の裏側 MonotaRO・鈴木社長「国内シェア10%超目指す」

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ポストコロナの時代に、GAFAMのような「成長企業」を日本も生み出せるのか。世界の産業ルールが変わり始める中、躍進銘柄のトップと戦略に迫る。

MonotaROの鈴木社長は自らの会社の立場を「伝統的な流通構造におけるルールチェンジャー」と表現する(撮影:ヒラオカスタジオ)

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鬼退治する桃太郎のように、不透明で非効率な間接資材流通の問題を解決する。そんな指針を掲げるのが、工具や消耗品などの間接資材EC(ネット通販)を手がけるMonotaRO(モノタロウ)だ。
中小企業を中心に顧客数を伸ばし12期連続で増収増益を達成しており、「工具界のアマゾン」とも呼ばれている。その急成長ぶりは上場企業の中でも抜きんでており、10年間で売上高は8.5倍、営業利益は15.4倍にまで拡大した。今も大躍進を続けている同社の鈴木雅哉社長に、今後の成長戦略を聞いた。

“後出しじゃんけん”のようなもの

――2021年11月22日時点で時価総額は1兆円を超えており、予想PER(株価収益率)も約68倍と高水準です​。株式市場からは、どういったところが評価されているのでしょうか。

2009年度から現在に至るまで増収増益を続けており、年間でおよそ20%ずつ売り上げを拡大してきている。営業減益となったのもリーマンショックの影響を受けた2009年度だけだ。継続的に成長できるビジネスモデルを築きつつある点が高く評価され、PERに現れているのだろう。

日本の間接資材の市場規模はおよそ5兆~8兆円といわれており、モノタロウのシェアは3%程度だ。製造業や自動車整備業など幅広い事業者にサービスを提供しているが、弊社調べでは全体の3割以上はモノタロウを利用したことがあるようだ。今後10年間で国内シェアは10%超の水準にまで引き上げたい。

創業時もオンライン販売に適した、商品を探す際に時間のかかるもの、という観点から間接資材を選んだ。スーパーやコンビニでも販売されている事務用品とは違って、(業者ごとに見積もりをとり価格交渉も伴うため)顧客ごとに間接資材の購入価格は異なりワンプライスではない。

見積もりをとってから発注するため商品の調達に時間がかかってしまう。そうした金額的にはそこまで大きくないけれど非常に手間のかかる領域において、われわれはインターネットを活用することで「誰が買ってもそこそこ安い」という状況を作り出せた。

事業者に出入りする営業担当者から見積もりを得て交渉する間接資材の伝統的な流通構造におけるルールチェンジャーの立場で、いわば後出しじゃんけんのようなものだ。

――継続的に成長できるビジネスモデル、とはどのようなものでしょうか?

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