米国を舞台に激化する、自動車メーカーの電池投資の最前線を追う。
世界の自動車メーカーの間で今、熾烈な“電池争奪戦”が起きている。
9月末、米フォード・モーターが発表したのは約6500億円を投じて電池工場を建設する計画だ。10月には、欧米系のステランティスに続き、トヨタ自動車も米国に電池工場をつくると表明した。
脱炭素政策の下でEV(電気自動車)などへの電動車シフトを進める自動車各社にとって、電池を必要量調達できるかは電動化戦略を左右する。だが需要が拡大する中で電池メーカーの生産ラインを確保するには難しい交渉が必要だ。
ある自動車メーカーの渉外担当者はこう打ち明ける。「今、電池メーカーは強気ですよ。電池メーカーが発注元を選ぶ。条件として、投資をしてくれ、前払いをしてくれ、年間契約で購入量を保証してくれ、などいろいろと条件をつけてくる。それがのめないのなら売らないぞ、と」。
価格もネックだ。電池はEVの製造コストの3〜4割を占める高額な部品。自動車メーカーとしてはできるだけ安く調達したいが、足元では価格上昇に見舞われている。ブルームバーグNEFの調査によれば、2013年時点でセル1キロワット時当たり平均460ドルだった電池の価格は20年時点で100ドル前後にまで下落した。が、現在はEV需要の拡大に伴い電池に用いられるリチウムやコバルトなどの金属が高騰。電池メーカーの間では値上げの動きが出ている。
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