EVの性能を飛躍的に上げると期待されるが、開発は遅れている。
EV(電気自動車)の競争力を飛躍的に高める“夢の電池”──。そう期待されてきた次世代電池の筆頭格が、全固体のリチウムイオン電池だ。
全固体電池とは、電池の正極と負極の間にあり、リチウムイオンが移動して電気を流す「電解質」に、現在使われている液体ではなく固体の材料を用いたものだ。
これが実用化されれば、航続距離や電池の寿命を延ばし、充電時間を短縮し、電池を燃えにくくするなどの利点がある。EVの抱える課題の解決につながるとあって、開発競争はここ数年激しさを増してきた。電池メーカーや自動車メーカーに加え、素材メーカーやスタートアップ企業も相次ぎ参入している。関連特許の出願数などで先頭集団を引っ張るのは、日本のトヨタ自動車だ。
EVへの搭載に重大課題
が、そのトヨタから衝撃的な発表があった。
「現時点では、全固体電池をハイブリッド車(HV)に活用することが性能的にはいちばん近道だ」。
今年9月に同社が開催した電池戦略の説明会。登壇した前田昌彦チーフ・テクノロジー・オフィサー(CTO)は、トヨタが2020年代前半の実用化を目指す全固体電池を、EVではなくまずHV向けに投入する方針を明らかにした。全固体電池はイオンの動きが速く、充電・放電が速いことから、HV向けの電池として適しているというのが理由だ。
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