『日本企業の為替リスク管理 通貨選択の合理性・戦略・パズル』 『あるヒトラーユーゲント団員の日記 1928-35 「総統に仕えた」青年シャルの軌跡』ほか
円建て輸出はなぜ増えない 高度な管理がもたらす皮肉
評者/BNPパリバ証券経済調査本部長 河野龍太郎
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[Profile]しみず・じゅんこ 学習院大学経済学部教授。
いとう・たかとし 政策研究大学院大学教授、米コロンビア大学教授。
こいぶち・さとし 中央大学商学部教授。
さとう・きよたか 横浜国立大学国際社会科学研究院教授。
円高が到来すると、輸出企業は悲鳴を上げる。もし輸出契約が円建てなら、損失を被るのは輸入側だ。為替リスクを避けるため、なぜ輸出企業は円建て輸出比率を高めないのだろうか。
一般に先進国間の工業製品の貿易は、輸出国の通貨建てで行われる。しかし、日本は輸出入ともに円建て比率が低い。先進国と新興国の間の貿易は、通常、当該先進国の通貨建てで行われる。しかし、日本のアジア向け輸出は、円建てと米ドル建てが40%程度で拮抗し、近年はアジア通貨建てが増えている。謎は深まるばかりだ。
国際金融の研究者らが、企業への独自のインタビューやアンケートを基に、輸出企業の為替リスク管理に関わる謎を解き明かした好著だ。
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米国や欧州の市場は競争が熾烈で、名だたる日系自動車メーカーも円高を価格に転嫁するとシェアを失う。ゆえに為替リスクを自らが負い、米ドル建てやユーロ建てで輸出してきた。一方、独占力を持つ半導体製造装置メーカーなどの機械メーカーは、円建てで輸出契約を結び、為替リスクを避けている。
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