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『ビジネス・エコノミクス 第2版』 『それでも選挙に行く理由』ほか

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「理論から応用」で使いやすく 豊富な事例挙げ鮮やかに説明
評者/名古屋商科大学ビジネススクール教授 原田 泰

『ビジネス・エコノミクス 第2版』伊藤元重 著(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)
[Profile]いとう・もとしげ 1951年生まれ。東京大学大学院経済学研究科教授などを経て現在学習院大学教授。経済学博士。専門は国際経済学、ミクロ経済学。ビジネスの現場を歩き、理論的観点も踏まえて分析する「ウォーキング・エコノミスト」。

同名の書の全面的な改訂版である。第1版が、事例から理論へという構成だったのに対し、理論の説明とその応用というスタイルになり、教科書として教える側にも学ぶ側にも利便性が高くなった。

本書の構成は序論の後、価格と市場、ゲーム理論、インセンティブ、行動経済学、戦略、イノベーションへと続く。

みなが欲しがる時に価格を高くする価格差別は評判が悪いが、実は、「医は仁術」を実践した赤ひげの行動と似ているという。不合理な空港行政が日本の航空ビジネスを停滞させること、消費者よりも、まず商品を並べてくれるお店に売るというこれまでの日本のマーケティング方法の激変、日本の二酸化炭素削減策が計画経済的で不公平かつ非効率でもあることなど興味深い事例が数多く並んでいる。

同時に、現場の知識の重要性、商業の裁定行為の意味、モラルハザードを「倫理の欠如」と訳すことの誤りなど、通俗的理解を覆し、市場経済の機能についての深い理解をもたらす記述が多い。

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